３年以内にまず１カ所

　在日韓国婦人会（金定子中央本部会長）は昨年、在日同胞社会の福祉問題の解決の一助として乗り出した同胞向け老人ホーム建設事業について、３年以内をめどに１カ所建設、最終的に全国７地協７カ所に1000坪・100人規模の老人ホームを建設していきたいとする意向を明らかにした。

　婦人会が建設を目指しているのは、昔のような韓国人集落地で、向こう三軒両隣的な韓国的な雰囲気を持った老人ホーム。日本の老人ホームに入居しながらも、言葉や食文化の違いから打ち解けることができずに寂しい思いをしいている同胞のお年寄りが多いことから、一緒にキムチを食べ、故郷の方言で孫の自慢話などをしながら、明るい笑いが響くホームにしたいと考えている。栄養士や医師など、各分野で在日同胞のボランティアやスタッフを募っていく。

　３年以内に100人が入所できるホームを建設し、順次７地協に１か所ずつ、合計７か所に建設する計画だ。老人ホームの設立を申請するには１億5000万円が必要となるため、婦人会では全同胞を対象にした保険業務を展開、その手数料を財源として積み重ねることにした。老人ホーム建設資金確保のために、昨年10月には保険会社「エキスパート・アライアンス」と業務提携して「ムクゲファミリー福祉推進委員会」（金定子同委員会会長）を構成、昨年から継続的に全国を巡回している説明会を通じて会員を募っている。

　ムクゲファミリーでは会員１万人を目標とし、中央委員・代議員数から各本部別の割り当て人数を算出。３年をめどとする最初の建設予定地は、割り当てを達成した地区から特別養護老人ホームを建てていく予定だ。

　先月22、23の両日、熱海で開催された第21期第２回全国会長会議で、金会長は「老人ホームの建設は組織全体の仕事として取り組んでいきたい。建設のために保険加入を加速させたい」と述べた。民団中央本部の金宰淑団長も「同胞の老人福祉問題は全体の問題。婦人会の老人ホーム建設に民団も協力していきたい」と前向きな姿勢を示した。また、同会の崔金粉常任顧問も「全国の会長一人ひとりがムクゲファミリーの委員です。自覚を持って協力してほしい」と激励した。

（2003.02.05　民団新聞）