掲載日 : [2007-07-25] 照会数 : 7023
韓日結ぶ在日 金松伊さん
[ 翻訳した作品4冊を前にする金松伊さん ]
[ 韓国で出版した自叙伝の表紙 ]
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『チャングムの誓い』翻訳
ジュニア版全4巻完結 朝鮮時代の背景わかりやすく
【大阪】在日2世で近畿大学講師の金松伊さん(61)が、韓国の人気テレビドラマ「宮廷女官‐チャングムの誓い」の原作をジュニア向けに分かりやすく翻訳した。
出版は学校や公共図書館向けの良書を手がけている東京の汐文社。昨年年11月に第1巻が出て評判を呼び、今春までに全4巻(A5判)が完結した。小学校3年生を対象にした分かりやすい翻訳と心温まる挿絵が、朝鮮時代の宮中の様子を生き生きと伝えている。
金さんは翻訳を引き受けるやソウルで原作者のキン・サンホン氏とも会い、アドバイスを受けたという力のいれよう。汐文社によれば、「当時の時代背景がよく分かる」と、教職員が児童に読ませるため買っていくという。
金さんは「次代を担う子どもたちが感動し、大きくなってからまた自分のこどもたちにも読ませたいと思うそんな本を心がけた」と話している。
問い合わせは汐文社(℡03・3815・8421)。
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『自叙伝』文化観光部が教養図書選定
解放直後の在日社会描く
金さんが韓国で出版した自叙伝は06年度文化観光部教養図書に選定された。タイトルは『ナッチャンイカンダ(なっちゃんが行く)』。なっちゃんは金さんの通称名「夏江」からとった。
金さんは翻訳の仕事で訪韓する機会も多い。出版仲間に会い、かつて在日同胞が日本社会で味わった辛苦を語ると、「内容が面白い。実話シリーズでぜひ書いてほしい」と依頼された。作品は解放から10年が経過した幼少時がテーマ。
当時、金さんはアボジから「チョソンサラムは立派な民族。なにがあっても負けることはない」と教えられて育った。7人兄弟の2番目として、家では家事や兄弟の世話が日課。学校では毎日けんかに明け暮れた。それだけに「昔のことは思い出すだけで気が進まなかった」。
だが、アボジを亡くしてから「アボジから日々教え聞かされてきた言葉や在日の思いを形で残さなければ」との思いが募り、重い筆をとったという。シリーズ第2回は小学校6年生当時のことを描くことにしている。
(2007.7.25 民団新聞)