掲載日 : [2007-08-29] 照会数 : 6605
フラッシュ同胞企業人(10) 人材育て環境事業
[ 1947年福島県南会津生まれ。作新学院高校卒。78年金井建設工業の社長に就任。98年に現在の南会津郡下郷に移転。県産廃物協会の副会長。福島韓商副会長。1男2女、孫5人。 ]
南会津地域の発展とともに歩む
金井建設工業の金永寿社長
福島県の西南部、南会津郡下郷町は栃木県との県境にある人口8000人の町。1952年の会社設立以来、地域の発展と共に歩んできた。
事業の内容は、総合建設から産業廃棄物(産廃)、砂利採取販売、運送、宅地建物取引など幅広い。町の工事現場周辺には、「KANAI」のロゴをつけた車両が目につく。
光るもの探して
「この仕事は地域の人々との交流・融和がなければ、続けるのは難しい。他人よりちょっと〞光るもの〟を心がけ、やりたがらない砂利や産廃などを率先して手がけた」
社長歴30年は地元でも古い。長年の信用・信頼を積み重ねた結果、地元公共団体の民営化第1号として、町立体育館やコミュニティセンターの指定管理者に委託された。
産廃焼却処理プラントの設置に際しては、冷却熱利用による公衆浴場「湯再来」(湯サイクル)を整備し、地元に無料で開放している。「地域に貢献する考えがないと認められない」と強調する。社員85人、06年度売上額は約15億円。
かつて当地には炭坑があった。父親が土木建築請負の金井組を設立したのは32年。ここに居を構えてから、実に80年近い。「当時のことはなにもわからないが、この町に因縁を感じる」。医者になろうと大学受験を目指していたが、父の後を継いだ代表の母が急死したため、会社を引き継ぐことになった。土木建設も、「地球のお医者さんにかわりはない」。
当時の人力中心から機械に、そしてコンピュータへと、時代の変化はめまぐるしい。
「仕事を進める上で重要なのはヒト・モノ・カネの3要素。とりわけ専門家を養成しなければ、新しい需要を掘り起こせない。優れた人材こそ最大の財産だ」
社員に夢持たせ
人づくりに精力を注ぎ、適材適所を考えながら、希望する者には勉強する機会を提供してきた。「カネはたまらないが、人は残す」と自負する。
「夢を持て」と、常に社員に語る。「会社における夢とは、その道のプロになること。夢のない人間は前向きになれないし、進歩しない」。
03年に福島県優良建設工事の河川部門で大賞を受賞。技術・施工・創意工夫・地域貢献など総合的に高い評価を受けた。今年5月には県主催「次世代育成支援」の男女共同参画部門で最優秀賞を受賞した。建設業でこれまで女性が少なかった職種への多数登用や、仕事と生活の両立支援などが評価された。
毎朝7時、一番に出勤する。「今後は環境ビジネスに力を入れたい。県の汚職問題で公共事業は減る一方。地方ではなんでもこなせる力をつけなければならない」。あまりの忙しさに、好きなゴルフからも足が遠のいている。
「今後、ガードマンはどんな仕事にも必要」と、子会社の警備業「ワイ・エス」(YS)も始めた。頭文字は夢と信頼を意味し、韓国名の「ヨンス」に通ずる。
モットーは「豊かな環境づくりのお手伝い」。那須連山や、国立公園の日光・尾瀬にも近い。豊かな自然に恵まれた土地で、自然と人間の調和をめざす。
(2007.8.29 民団新聞)