掲載日 : [2007-12-05] 照会数 : 10571
来年1月から施行の家族関係登録制度
[ 領事業務研修で家族関係登録制度の説明を受ける首都圏の民団実務者ら(1日、山梨) ]
代理申請は民団が継続
交付証明書は5種類
家族関係・基本・婚姻・養子縁組・特別養子
韓国では来年1月1日から、個人の尊重と両性平等をめざし戸籍制に代わる「家族関係登録制度」が施行される。本籍に代わる登録基準地や姓変更制度の導入など、概念が従来とはまったく異なる。在日同胞の場合、各種証明書の代理申請はこれまで通り、最寄りの民団事務所で可能だ。新制度の主な内容について、問答形式で紹介する。
新制度の変更内容
☆戸籍簿に代わり家族関係登録簿
☆本籍廃止・登録基準地の新設
☆戸籍謄本は家族関係登録証明書に
☆姓変更制度の新設
☆特別養子制度の導入
戸籍の廃止
Q 08年1月1日から廃止される戸籍に代わるものはなにか。
A 戸主制の廃止にともない戸籍と関連した入籍・復籍・分家などの制度がなくなり、代わって家族関係登録制度が導入される。従来の父姓主義を修正し、個人の尊重と両性平等の理念を具現化するものだ。個人情報保護の観点から、証明書の記載事項は最小限にとどめられる。
登録基準地の導入
Q 登録基準地とはなにか。
A 本籍に代わる新概念として登録基準地が導入された。家族それぞれが同一である必要はなく、個人が自由に変更できる。
家族関係登録簿
Q 戸籍に代わる家族関係登録簿とは?
A 家族関係登録事項を個人別に入力した資料。現行戸籍の記載事項を基礎に自動作成されるので、戸籍に記載されてる者は別途に申告する必要はない。来年以降、出生申告する場合などに新しく作成しなければならない。
証明書は目的別に、①家族関係証明書②基本証明書③婚姻関係証明書④養子縁組関係証明書⑤特別養子関係証明書−−の5種類に分類される。
家族関係証明書
Q 家族関係証明書などには何が記載されるのか。
A 5つの証明書の共通記載事項は、本人の登録基準地・姓名・性別・本貫・出生年月日だ。家族関係証明書には、本人のほか父母、配偶者、子どもが記載されるだけで、祖父や兄弟、孫は記されない。基本証明書には、本人の出生、死亡、改名など身分事項に関する内容が記載される。
証明書交付の請求
Q 各証明書の発行を請求できる者は?
A 個人情報保護のため証明書の交付要件が厳格になり、請求できるのは原則として本人と直系尊属・卑属、配偶者、兄弟姉妹に限定される。
民団の代理業務
Q 証明書の申請は民団でできるのか。
A 従来通り、各地民団を通じて証明書の代理申請を依頼することが可能だ。
本籍地原則の廃止
Q 証明書の請求はどこで?
A 戸籍制度の場合、本籍地の役所が各証明書を交付するのが原則であった。しかし、家族登録制度はどこでも申請することが可能だ。例えば、ソウルに登録基準地を設けた者が、済州道に新婚旅行に行き、西帰浦市庁に婚姻申告をした場合、要件を満たしていれば直ちに記載され、婚姻関係証明書の発行も請求できる。
兄弟姉妹の証明書
Q 相続で兄弟姉妹の証明書が必要なときはどうするか。
A 父母の家族関係証明書を通じて兄弟姉妹の関係を確認できる。ただし、当分間は現行の戸籍簿を除籍謄本として活用することができる。
姓変更制度の新設
Q 子どもの姓は父母どちらでも可能か。
A 従来の父姓主義の原則が修正された。子どもの姓と本貫は父親に従うのを原則とするが、婚姻当事者が婚姻申告時に子どもの姓を母親のものにすることで合意すれば、その子どもは母親の姓を名乗ることが可能だ。このような合意がなくても、子どもの福利のため必要だと認められれば、法院(裁判所)の姓変更審判を受けて母の姓を名乗ることができる。
再婚後の姓変更
Q 私は前夫との間に生まれた子どもを連れて再婚した。子どもの姓を再婚した夫の姓にしたいのだが。
A 2つの方法が可能だ。ひとつは、母親が法院に姓の変更審判を請求する方法。この場合、前夫の同意は必要ない。いまひとつは、再婚した夫がその子どもを特別養子として入籍すること。ただし、この場合はその子どもが15歳未満でなければならず、再婚した夫の同意書を具備して法院の養子入籍決定を受ける。この場合、実親との親族関係は終了する。
(2007.12.5 民団新聞)