国民統合と経済再生託す
地域構図に変化の兆し
第17代大統領選挙(昨年12月19日)では、過去1年以上にわたり世論調査の支持率で首位を維持してきた保守野党・ハンナラ党候補の李明博氏が、与党系の大統合民主新党候補・鄭東泳氏に531万票もの大差で圧勝した。国民は、理念より現実生活重視の「実践する経済大統領」を標榜する李明博氏に、経済再生への実行力を求めるとともに先進化実現の期待を託し、政権交代を選んだ。
李明博圧勝…実行力に強い期待
進歩支持層もなだれ打つ
脱世代と脱理念
今回の大統領選挙の大きな特徴の一つは、「脱世代」と「脱理念」である。5年前の大統領選挙で盧武鉉候補勝利への牽引役を果たしたのは20・30代の若い世代の支持であった。当時の出口調査によると、20代では62・1%が、また30代の59・3%が盧候補に投票した。ちなみにこの時の盧大統領の得票率は48・9%で、李会昌ハンナラ党候補との票差は57万980票(2・3%)だった。
だが、今回大きく様変わりした。与党系の鄭東泳候補への20・30代の支持は20〜28%で、多くが李明博候補支持に回った。李明博候補は50・60代はもとより「386世代」で代表される40代でも圧倒的な支持を得た。李候補支持が50・6%だったの対して鄭候補支持は、わずか28・3%にとどまった(出口調査)。
学生運動圏は、これまで各種選挙で反ハンナラ党運動を展開してきたが、今回は全国42大学の総学生会長が李明博候補支持を宣言(10月28日)。また、従来ハンナラ党候補に反対してきた韓国労働組合総連盟も、李明博候補と政策協約書を交換し、支持を表明した(12月10日)。
専門家たちは、過去の大統領選挙での理念的志向は保守40 /進歩40 /中道20であったが、今回は保守30 /進歩30 /中道40に変わったと分析している。ある世論調査によると中道性向と回答した人の80%が李候補を支持していた。
保守陣営の得票率は、李明博候補48・7%に李会昌候補(無所属)15・1%をあわせると63・8%にもなる。これに対して与党系・進歩陣営の得票率は、鄭東泳候補26・1%に文国現候補(創造韓国党)5・8%、権永吉候補(民主労働党)3・0%、李仁済候補(民主党)0・7%を足しても35・6%にすぎない。5年前の選挙での52・8%(盧武鉉48・9%、権永吉3・9%)に遠くおよばなかった。
李明博候補は、伝統的に大統領選挙で接戦地区であった首都圏(ソウル、仁川、京畿道)で独走、49〜53%の支持を獲得。鄭東泳候補はその半分以下の23〜24%にとどまった。ソウルの25地区すべてでハンナラ党候補が1位を占めたのは初めて。前回ハンナラ党の李会昌候補が得票率で1位だったのは江南区と瑞草区の2カ所だけだった。
李明博候補は、ハンナラ党の念願だった「反ハンナラ党心理の強い湖南(全羅南・北道、光州。鄭東泳候補の地元)での得票率の2ケタ台達成」にはわずか及ばなかったものの、湖南を除き全国で得票率トップとなった。
李明博候補圧勝の背景として大きく2つが指摘されている。
今回の選挙では、「経済の再生」が、世代を超えて国民の最大の関心事であり争点であった。
選挙前の各種世論調査では、次期政権の最優先課題として「景気の回復と経済の活性化」が最も高かった。以下「雇用の創出と失業問題」「貧富の格差と社会的格差の解消」などが上位を占めた。
経済問題を解決するのにどの候補が最もふさわしいか。「実践する経済大統領」を標榜し、「経済の再生」と「先進化」を最大優先公約に掲げた李明博候補は、財界出身(現代建設最高経営者)であり、ソウル市長として行政手腕でも実績がある。経済再生と雇用創出への期待から若い世代の多くも、実行力をアピールした李明博候補を支持したのだ。
盧政権への失望
また、国民の「過去5年間の盧武鉉政権に対する失望と拒否感」が、「今度は政権を変えなければならない」と変革を求める声となり、盧大統領と理念・政策的にほとんど差異のない鄭東泳候補ではなく、理念より実用に重きを置き「経済実用主義」を唱え、中道保守視される李明博候補への支持、期待が圧倒的票差となった。
主要3候補地域別投票数(得票率)
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(2008.1.1 民団新聞)