昨年、日本で相次いで韓国絵本が刊行された。母親の子を思う深い愛情や,人間の本質を見抜くトラなど。現代人が忘れてしまった大切なものを想起させてくれる4冊の韓国絵本を紹介する。世代を超えて、子どもだけでなく、大人にもぜひ読んでもらいたい。
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『ことりは ことりは 木でねんね』
『ことりは…』は韓国で歌いつがれてきた子守歌です。なかなか眠らないわが子を胸に抱き、お母さんは歌います。このお母さんは、貧しくとも献身的にまわりの者の世話をし、社会を根底から支えてきた韓国のお母さんの姿そのもの。
作者のチョン・スニさんは注目される韓国の絵本作家の一人。松谷みよ子さんは、日本の児童文学を代表する作家です。
絵=チョン・スニ 訳=松谷みよ子(童心社刊、℡03・5976・4402)。1400円(税別)。
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『いぬとねこ』
韓国では昔からいぬは家を守る動物として大切にされました。ねこは霊的な力を持つ動物と考えられ、最近までかわいがる習慣がありませんでした。同書はねこのてがらによっておばあさんは、いぬよりもねこをかわいがるようになり、ねこは家のなかで、いぬは家の外でかわれるようになったという微笑ましい、韓国の昔話です。
再話=ソ・ジョンオ 絵=シン・ミンジェ 訳=おおたけきよみ(光村教育図書刊、℡03・3779・0581)。1600円(税別)。
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『しろい まゆげのトラ』
この物語ではトラが人間の本質を見抜き、見抜かれた人間は飲み込まれてしまいます。おじいさんに姿を変えて、人間のまちに行きますが、トラであることを幼い娘が見破ります。
大人たちには見えないものを、素直な心を持つ幼い娘にはトラと同じ本質を見破る力が宿っているという大切なことを教えてくれます。
文=イ・ジンスク 絵=ペク・テスン 共訳=星あキラ、キム・ヨンジョン(瑞雲舎刊、℡03・5449・0653)。1600円(税別)
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『ゆらゆらゆくよ』
面白い話をせがむハルモニのため、ハラボジはお話を求めて市場に行きます。でも、夕暮れが近づいてもお話ひとつ持って帰れません。
とぼとぼ歩く帰り道、出会ったお百姓さんから聞いた「ゆらゆらくる、のそりのそりあるく…」というお話が、なんとハルモニとハラボジを助けるというお話です。
文=クォン・ジョンセン 絵=キム・ヨンチョル 訳=金広子(小峰書房、℡03・3357・3521)。1500円(税別)。
(2008.1.16 民団新聞)