掲載日 : [2003-02-25] 照会数 : 3072
平和と繁栄と跳躍の時代に−盧大統領就任辞全文(03.2.25)
盧武鉉・第16代大統領の就任辞(全文)
(本団で翻訳)
尊敬する国民の皆様。
今日私は大韓民国の第16代大統領に就任するためにこの席に立ちました。国民皆様の偉大な選択で、私は大韓民国の新政府を運営する光栄な重責を預かるようになりました。国民の皆様に熱い感謝を申し上げ、この手に預けられた使命を国民皆様と共に完遂していくことをお約束します。
合わせてこの席に参加してくださった金大中大統領をはじめとする歴代大統領の皆様、小泉純一郎日本国首相をはじめとする世界各国の慶祝使節と内外貴賓皆様にも深く感謝申し上げます。
特にこの場を借りて、大邱地下鉄惨事の犠牲者皆様の冥福を祈るとともに、遺家族皆様にも深い慰労を申し上げます。ふたたびこのような不幸が繰り返されないよう、災難管理体系を全面点検し、画期的に改善し安全な社会を作るように最善を尽くします。
国民の皆様。
私たちの歴史は挑戦と克服の連続でした。列強の狭間に置かれた韓半島で多くの苦難に勝ち抜き、5000年間、民族の自尊と独自的文化を守ってきました。解放後には分断と戦争と貧困を経て、その半世紀後には世界12番目の経済強国を建設しました。
私たちは農耕時代で産業化を経て、知識情報化時代に成功的に進入しました。しかし、今、私たちはふたたび世界の歴史的転換点に直面しました。跳躍か?後退か?、平和か?緊張か?の別れ目に立っているのです。
世界の安保状況が不安です。イラク情勢が緊迫しています。特に北韓核問題をめぐった国際社会の憂慮が高まっています。このような時こそ私たちは平和というものを守り、より一層強固に根付かせていかなければなりません。
対外経済環境も厳しくなっています。先進各国は限りなく新しい領域を開拓して伸び進んでいます。後発国は驚異のごとく追撃してきます。私たちは新しい成長動力と発展戦略を要求されているのです。
私たちの社会内部にも国家の命運を決定付ける、多くの問題が横たわっています。これらの課題は国民皆様の知恵と決断を待っています。
このすべての挑戦を克服しなければなりません。私たちはやり遂げることができます。私たち国民が力を合わせれば、不可能なことはありません。そのような底力で私たちは外貨危機を世界で最も早く脱したのです。昨年は、ワールドカップで「4強神話」を創りました。大統領選挙のあらゆる過程で参加する民主主義を開花させました。
尊敬する国民の皆様。
今、私たちの未来は韓半島に閉じ込められてはなりません。私たちの前には北東アジア時代がやってきているのです。近代以後、世界の辺方に留まった北東アジアが、今、世界経済の新しい活力に浮上しました。21世紀は北東アジアの時代になるはずだとの世界碩学等の予測が着々に現実化されつつあります。北東アジアの経済規模は世界の5分の1を占めます。韓・中・日の3カ国だけでも、欧州連合の4倍以上の人口が生きています。
わが韓半島は北東アジアの中心に位置を占めています。韓半島は中国と日本、大陸と海洋を連結する橋なのです。こういう地政学的位置が過去、私たちに苦痛を与えました。しかし今日では、むしろチャンスを与えています。21世紀北東アジア時代の中心的役割を私たちに求めているのです。
私たちは高い頭脳と創意力、世界一流の情報化基盤を持っています。仁川空港、釜山港、光陽港と高速鉄道など、空と海と地の物流基盤も具備しつつあります。21世紀北東アジア時代を主導的に切り開く基本的条件を揃えていっています。韓半島は北東アジアの物流と金融の中心地として生まれ変わることができるのです。
北東アジア時代は経済から出発します。北東アジアに「繁栄の共同体」を実現し、これを通じて世界の繁栄に寄与していくのです。そしていつかは「平和の共同体」に発展させていくのです。今の欧州連合と同じような、平和と共生の秩序が北東アジアにも駆逐されることが私の長い間の夢なのです。そうなってこそ、北東アジア時代は完成されるのです。その日が近づくよう、私は渾身の努力で全力投球することを固くお約束します。
国民の皆様。
真の北東アジア時代を開くには、まず、韓半島の平和が制度的に定着されなければなりません。韓半島が地球上の最後の冷戦地帯として残ったことは20世紀の不幸な遺産です。そのような韓半島が21世紀には世界に向かい、平和を発信する平和地帯に変わらなければなりません。ユーラシア大陸と太平洋をつなぐ北東アジアの平和な関門として、新しく生まれ変わらねばなりません。釜山でパリ行きの列車チケットを買い、平壌、新義州、中国、モンゴル、ロシアを経てヨーロッパの真ん中に到着する日を操り上げなければならないです。
今まで私たちは韓半島の平和を増進させるべく、多くの努力を傾けました。その成果は注目することだけのことはあります。南北韓に人と物資の交流が日常的なことのように頻繁になりました。空と海と地の道がすべて開きました。しかし政策の推進過程では、より一層広範囲な国民的合意を得るべきだという課題を残しました。私はこの間の成果を継承・発展させ、政策の推進方式を改善していくつもりで。
私は韓半島の平和増進と共同繁栄を目標にした、「平和繁栄政策」をいくつかの原則を持って推進していきます。
まず、あらゆる懸案は対話を通して解決していきます。
二つ目に、相互信頼を優先し、互恵主義を実践していきます。
三つ目に、南北当事者の原則に基づき、円滑な国際協力を追求します。
四つ目に、対内外的透明性を高め、国民参加を拡大し、超党派的協力を得ていきます。国民と一緒になった「平和繁栄政策」にします。
北韓の核兵器開発疑惑は、韓半島をはじめ、北東アジアと世界の平和に重大な威嚇になっています。北韓の核開発を容認することはできません。北韓は核開発計画をあきらめるべきです。北韓が核開発計画をあきらめるならば、国際社会は北韓が願う多くのことを提供するはずです。北韓は核兵器を保有するか、体制安定と経済支援を約束されることなのかを選択しなければなりません。
合わせて私は北韓核問題が対話を通し平和的に解決されるべきだという点を改めて強調します。どんな形態でも軍事的緊張が高まってはならないのです。北韓核問題が、対話によって解決されるよう、私たちは米国、日本との協調を強化していきます。中国、ロシア、欧州連合などとも緊密に協力していきます。
今年は韓米同盟50周年です。韓米同盟は私たちの安全保障と経済発展に大きく寄与してきました。私たち国民はこれに対して深く感謝しています。私たちは韓米同盟を大切に発展させていくことでしょう。互恵平等の関係で、より一層成熟させていきます。伝統友邦をはじめとする他の国家らとの関係も拡大していきます。
国民の皆様。
北東アジア時代を開き、韓半島に平和を定着させるには、私たちの社会が健全で未来志向的でなければなりません。力とビジョンを持たなければなりません。それには改革と統合のための持続的努力が必要なのです。改革は成長の動力であり、統合は跳躍の踏み石です。
新政府は改革と統合を土台に、国民と共にする民主主義、共に生きる均衡発展社会、平和と繁栄の北東アジア時代を開いていきます。このような目標をめざすため、私は原則と信頼、公正と透明、対話と妥協、分権と自律を新政府国政運営の座標にしようと思います。
私たちは各分野の新しい成長動力を創出しなければなりません。外貨危機を招いた諸般要因は、いまなお克服すべき課題として残されています。市場と制度を世界基準に見合うよう、公正で透明に改革し、起業するに良い国、投資したい国に作りあげます。
政治から変わらなければなりません。本当に国民が主人公の政治が具現されなければなりません。党利党略より国家利益と国民の福祉を優先する政治風土が造成されなければなりません。対決と葛藤でなく、対話と妥協によって問題を解決していく政治文化が確保されなければなりません。私自ら野党と対話し妥協します。
科学技術を不断に革新し「第2の科学技術立国」を成し遂げます。知識情報化基盤を持続的に拡充し、新産業を育成していきます。文化をかん養して文化産業の発展も積極的に支援していきます。
このような国家目標に相応できるよう、教育も革新させていきます。私たちの子どもたちを入試地獄から解放し、それぞれが持った素質と創意力を大いに発揮できるよう変えていきます。
経済の持続的成長のためにも、社会の健康のためにも、不正腐敗をなくさなければなりません。このため、構造的、制度的代案を模索します。特に社会指導層の骨を削る省察を要望します。
中央集権と首都圏集中は国家の未来のためにも、これ以上放置できないのです。地方分権と国家均衡発展は待ったなしの課題になりました。中央と地方は調和と均衡をなしながら発展しなければなりません。地方は自身の未来を自律的に設計し、中央はこれを助けていくのです。私は固い決意でこれを推進していきます。
国民統合はこの時代の最も重要な宿題です。地域構図を緩和するために、新政府は地域バランスのとれた人事を含む、可能なあらゆる措置を執って行きます。所得格差をはじめ、階層間格差を縮めるために教育と税制などの改善を講じようと思います。労使和合と協力の文化が成されるよう、労使の皆さんと共に最善を尽くします。
老弱者をはじめとする疎外されている人々に、より大くの関心を傾ける暖かい社会を作らなければなりません。このため、福祉政策を内実化しようと思います。あらゆる種類の不合理な差別をなくしていきます。明るい平等社会を志向していきます。開放化時代を迎えて農漁業と農漁民のための対策を講じていきます。高齢化社会に対する準備にも粗雑なく推進していきます。
反則と特権が容認される時代は、もはや終わらせなければなりません。正義が敗北して機会主義者が力を伸ばすという屈折した風土は清算されなければなりません。原則を正しく立て直し、信頼社会を作りましょう。正々堂々と努力する人が成功する社会に進みましょう。正直で誠実な大多数国民が、生き甲斐を感じるようにします。
尊敬する国民の皆様。
長い間、私たちは辺方の歴史を生きてきました。時には自身の運命を自ら決定できない依存の歴史を強要されることもありました。しかし、今、私たちは新しい転機を迎えました。21世紀の北東アジア時代の中心国家に雄飛するチャンスが私たちに訪れてきたのです。私たちはこのチャンスを生かさねばなりません。
私たちには数多くの挑戦を克服した底力があります。危機さえもチャンスにする知恵があります。そのような知恵と底力で、今、私たちに訪れた挑戦を克服しましょう。今日、私たちが先祖を賛えた様に、遠い未来、子孫たちが今の私たちを誇らしい先祖として記憶することでしょう。
私たちは心さえひとつにすれば奇跡を起こす国民なのです。みんなで心を集めましょう。平和と繁栄と跳躍の新しい歴史を作る、この偉大な道政にみんなが参加しましょう。常に国民の皆様と共に進みます。有難うございます。
2003年2月25日
大統領 盧 武 鉉
<本団翻訳>