高まる対外的な信認度
韓日関係が悪化する中、日本の一部マスコミに韓国経済をおとしめる記事が少なくない。しかし、韓国は輸出の好調に支えられ、経常収支の黒字額を大幅に増やしている。それが対外信認度を高め、株式や債券市場に外貨が流入し、国際金融市場の不安にも基盤が揺らぐことは少ない。だが国民たちにとって景気回復の実感は薄く、国内の景気振興策が急がれる。
課題は国内需要の喚起
経常収支とは、▽貿易▽サービス▽所得▽経常移転の4収支から構成され、1国の国際収支を評価する基準のひとつ。韓国の経常黒字は、2011年が260億7000万㌦、12年が431億4000万㌦と急増し、今年は過去最高の630億㌦に達すると予想される(韓国銀行)。
日本は今年の経常黒字を601億㌦と見込んでいる(日本総合研究所)ことから、韓国の黒字額が史上初めて日本を上回ることになりそうだ。日本は、東日本大震災以降の貿易赤字や、最近の円安による資本収支の減少などが大きく響いている。
韓国の経常黒字大幅増加の立役者は、好調な輸出だ。10月の輸出額は、月間基準で史上最高の505億1100万㌦を達成した。月間輸出額が500億㌦を超えたのは初めて。今年の年間輸出額は5500億㌦を見込んでいる。IT(情報技術)分野の輸出に活気が戻りつつあり、半導体や携帯電話が牽引している。
企画財政部が7日発表した「経済動向報告書」によると、9月の主要経済指標は自動車業界のストライキや秋夕連休など一時的な要因で振るわなかったが、「全般的に景気回復の流れは維持している」と判断した。実際、10月の自動車生産台数は42万台と月間ベースで今年最高となった。
韓銀の7日発表によると、10月末現在の外貨預金高は461億2000万㌦。5カ月連続の更新で過去最高を記録した。経常収支の大幅な黒字と、輸出好調な企業が保有するドルを中心に増えたためだ。
新興国のうち、経常収支が赤字のブラジルやインドネシア、インドなどは、今年に入り外国人投資家が大挙して資金を引きあげたため、経済が揺らいでいる。
一方で韓国は、経常黒字の増加により対外信認度が高まり、株式・債券市場に外貨が大挙流入している。経常黒字と輸出および外貨保有高の増加は、グローバル金融危機など海外発の突発的悪材料に見舞われたとき、土台をしっかり支える。
問題は、国内景気の回復が実感されていない点だ。さらに、経常黒字の拡大は通商摩擦や為替紛争を招きかねない。経常黒字をいかに適正水準に管理するかが問われる。大手企業の利益を内部に留保するだけでなく、投資に回す対策が求められている。
(2013.11.27 民団新聞)