掲載日 : [2009-06-17] 照会数 : 3461
郷里しのぶ綿の木 夜間中学校庭ですくすく
[ 収穫した綿を手にする李福順さん ]
【奈良】天理市立北中学校夜間学級で学ぶ在日1世のオモニたちが、校庭の畑でサンチュやニンニク、ニラ、唐辛子などを育てている。この一角から今年もチョウが羽を広げたような双葉が出てきた。生徒の李福順さん(88)が郷里の全羅南道海南郡から種を持ち帰った白のアメリカ綿だ。夏の終わりには真っ白い綿が姿を見せる。
李さんの実家は綿農家だった。母の手引きで幼少期から糸繰りを始めた。1944年、韓国で結婚して大阪に移ったが、戦時下の空襲を逃れて天理市にやってきた。日本に来る時には自分で織った綿布を腹に巻いて持ってきたというほど愛着を持っている。
40年前、里帰りした際に綿の種を持ち帰り、天理市内の家の庭で1本ずつ植え継いできた。これを知った同校教員、福島俊弘さんが昨年、教材にしようと種を譲り受け、60本の綿の木を育てた。
福島さんは「李さんがお母さんとの思い出がたくさん詰まった綿を育てることで、植民地時代の心の傷を癒してきたことに驚いた。大事に育て、学びの綿の木として後輩たちに語り継いでいきたい」と話している。
(2009.6.17 民団新聞)