「ハングル同好会」発足1年
【長野】愛称は「松商のキム」。面倒見がいいことから、女生徒からは「私のお母さん」と慕われる。金正玉さん(49)は本国出身。松商学園高等学校(金井貞徳校長、松本市)で数少ない外国籍教諭であり、同校の内なる国際化にむけた先兵役を果たしている。
担当科目は地歴・公民科。このほかにも、生徒が2年次から自らの興味と関心で選ぶ学校設定科目「韓国事情」を受け持ち、高い人気と支持を集めている。同科目は08年度からの開設。総合進学コースの生徒が選択できる。ここでは韓国の文化や歴史、音楽に触れながら韓国語を教えている。金教諭はこの年、同校と釜慶高校(釜山市)との交流提携覚書の仲立ちもした。
1、3年生や総合進学コース以外の生徒たちの中でも、金教諭の授業を受けたいという生徒は多い。昨年5月には、1年生から3年生まで8人が発起人となって学芸部のクラブ活動「ハングル同好会」をつくり、金教諭を顧問に迎えた。長野県内で韓国語を選択科目に加えている学校は9校あるが、韓国に関わる同好会が設けられているのは同校だけ。
同好会に属する生徒の関心はというと、韓国のアイドルグループ「少女時代」や「KARA」。金教諭はこうした芸能人への興味と関心を大事にしながら、韓国の言葉や文化へと導いている。
昨年は外国籍住民と互いの文化を楽しむ「第1回こいこい松本‐松本国際ふるさとまつり」や、民団長野本部「コリア祭」に参加した。この1年間同好会会長を務めた生徒は、金教諭から毎朝30分、韓国語の特訓を受け、韓国語能力試験3級に合格。「金先生みたいになりたい」と今春、金教諭ゆかりの国立釜山大学に留学した。
金教諭は韓国での社会人生活を経験して松本大学教職課程に編入。教育実習で松商学園の教壇に立ったところを前校長に見込まれた。金教諭は、「韓国のことを学ぶことで外国・外国人という先入観をなくし、世界で活躍できるスケールの大きな人間になってほしい」と期待している。
(2011.5.11 民団新聞)