脱北者の一人、榊原洋子さんの手記『北で暮らした42年半』(少女時代編)が、北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会「かるめぎ編集部」の手で冊子にまとまった。手記を通して、いまなお北韓で暮らす元在日同胞とその家族の一刻も早い救出を訴えている。
北送の前、榊原さんの母親は脳出血で倒れ、寝たきり。父親も看護に追われ、仕事に出られない状況だった。貧しさゆえに総連の執拗な甘言に心を動かされたようだ。61年5月のことだった。榊原さんはまだ11歳。
父親は慣れない野良仕事に病気の家族を抱えた心労が重なり、1年足らずで精神病を患う。後を追うように母親も病状が回復することなく死去。一人残された榊原さんは「なにがなんでも生きてやる」と、1年足らずで日常会話をマスターした。
「かるめぎ編集部」では、「これから先、誰にも榊原さんのような悲痛な思いをさせたくない」と出版の動機を語る。榊原さんが日本語と韓国語で語るCD付。980円(送料別)。注文は守る会(℡・FAX072・990・2887)。
(2011.5.11 民団新聞)