【大阪】12年度から4年間、使用される中学校教科書採択にあたって「自由社と育鵬社から発行された両『つくる会』系歴史教科書を子どもたちに渡してはならない!」と、大阪の教員らが11日、市内の阿倍野市民学習センター会館で決起集会を開いた。関係者100人が参加した。
集会では朴一さん(大阪市大教員)が「新しい歴史教科書のどこが問題か―歴史修正主義とどう向き合うか」と題して講演。主催者を代表して上田聡さん(大阪市大教員)が、「大阪は大阪維新の会が伸びているので油断できない。草の根活動でつくる会系教科書の台頭を封じ、偏りのない教科書を採択させていこう」と呼びかけた。
主催団体の一つ、「子どもたちに渡すな! あぶない教科書・大阪の会」はすでに採択過程に入ったとみられる各市町村教育委員会に「公開質問書」を提出。採択にあたってはアジア諸国との友好に配慮するとした「近隣諸国条項」を重視し、子どもたちの教育に直接携わる現場の教員の意見を十分に聞くように求めてきた。
関連団体の「子どもと教科書大阪ネット21」では、教科書展示会に行って自由社版・育鵬社版教科書批判の声を最寄りの教育委員会にあげるよう呼びかけている。
リーフレット発行
「子どもたちに渡すな! あぶない教科書・大阪の会」はこのほど、「つくる会」系教科書の記述を具体的に分析したリーフレット「子どもたちを『戦争』にみちびく教科書―自由社版も育鵬社版もいらない」を発行した。
韓国併合についての記述を見ると、自由社版、育鵬社版とも「近代化」を進めたと美化した。
自由社版は「朝鮮総督府が鉄道・灌漑施設をつくるなどの開発を行い、土地調査を実施。学校も開設、日本語とともにハングル文字を導入した」としている。これについて同リーフレットは、ハングルの時間があったのは植民地統治の初期に限られ、すぐに日本語教育しかなくなった事実を挙げ、「あきらかなごまかし」と指摘している。
育鵬社版では「土地調査」で多くの人々から土地を奪った事実は抜け落ちており、かわりに韓国服の伊藤博文の写真を掲載し、韓国文化を尊重していたかのような印象を与えようとしていると批判している。
B5版16ページ4色カラー刷り1冊50円。注文は大阪の会(FAX06・6797・6704)。
(2011.6.22 民団新聞)