11月締切に向けて奔走する
日本地域推進委の呉賛益委員長に聞く
スイスの非営利財団ニューセブンワンダーズ基金が選定する世界7大自然景観の最終候補(28カ所)に残った済州島。11月10日の投票締切に向けて広報活動に奔走する、済州・日本地域推進委員会の呉賛益委員長に済州島の魅力などについて聞いた。
−−済州島とは。
かつて火山島で絶海孤島だったが、隔離されたことが逆に自然の恵みを残した。標高1950メートルの漢拏山を中心に、稀少の高山植物をはじめ動植物の宝庫だ。
幻想的な雰囲気を醸し出す溶岩洞窟はこれまで過小評価されたが、世界的な学者たちが訪れ、学術的に高く評価された。私自身、20代の時に初めて訪問して魅了された。先祖供養もかねて毎年訪れている。
−−見所について。
1周250キロの島内は、道路が整備され、どこからでも1時間以内に目的地に行くことが可能なので、旅行者にはとても便利。特急ホテルや長期滞在用のコンドミニアム・民宿があり宿泊施設は万全だ。東北アジアの扇の要で、どこから行くにも交通の便がよい。
火山が隆起してできた城山日出峰は日本にはない景観であるほか、爆風でできた万丈窟洞窟、水が直接海に流れ落ちる正房の滝(西帰浦)など名所が多く、海の幸、山の幸を味わうことができる。
−−最終候補に残った理由は。
世界の440カ所を対象に、1・2次の投票・審査を経て、最終候補に済州島が残った。これまで済州島はユネスコ(国連教育科学文化機関)の生物圏保護地域(02年)、世界自然遺産(07年)、世界ジオパーク(10年)に指定された。この「3冠」は世界唯一で、それだけ多彩で貴重な自然に富んでいることの証と言える。他の候補地の場合、自然と文化(人)が分かれているが、唯一済州島だけは自然と人間が共生している。この点、大きなポイントになると思う。東北アジアの人類遺産として、在日同胞だけでなく日本人にも投票を広く呼びかけていく。
−−具体的な広報活動は。
札幌から福岡まで、総領事館のある大都市を中心に広報活動を行ったほか、東京や大阪で実施された「東日本大震災復興支援チャリティー」などにブースを出してPRした。今後も光復節や創団65周年記念式、第50回耽羅文化祭などのイベントを活用していく。
−−選ばれる可能性は。
最終28候補のうち、上位14候補に入っていると言われる。汎国民推進委員会を立ち上げ、前国務総理の鄭雲燦氏が委員長を務めるほか、大統領夫人の金潤玉氏が名誉委員長に就任するなど、国をあげて推進ムードが高まりつつある。結果も重要だが、広報活動を通じて済州の魅力を世界に知らせることが大切だ。7大景観に選定されれば、来年の麗水海洋博をはじめ観光面での波及効果は大きく、日本にも及ぶ。故郷に対する最大のご奉公だと思っている。
(2011.6.22 民団新聞)