市民主導で国際化まちづくり
入居型施設建設めざす
【埼玉】外国籍住民と共に生きるまちづくりをめざして川口市内で発足したNGO多文化共生協働センター・川口(峰久節子理事長)が9日、埼玉県から特定非営利活動法人(NPO)としての認証を受けた。申請からわずか1カ月半という異例の早さだった。行政側の寄せる期待の高さがうかがえる。デビュー事業として外国籍高齢者の介護支援に乗り出す。
NPO法人認可
川口市内在住の外国籍住民は約2万2000人と県内でも最多。国籍別では中国が最も多く、ついで韓国、ペルー、ミャンマー、ベトナム、ブラジルなど80数カ国に及ぶ。こうしたなか、NGO多文化共生協働センター・川口は、行政との協働による「共生のまちづくり推進」をめざして5月21日に設立された。
設立時に指針として掲げたのは、文化的背景の異なる外国籍住民の活力を引き出す各種支援活動。なかでも、「外国籍高齢者の介護支援が緊急性を要す」と、理事会で意見の一致を見た。同時に、母語の違いから義務教育についていけない年少者のための日本語学習支援にも取り組む。これらは行政側のニーズとも合致し、川口市は初年度35万円の支援予算を組んだ。
目標は言語や生活習慣の違いなどから既存の介護サービスに飽きたらず、不満を抱えている外国人高齢者のニーズに応えられる環境づくり。同NGO事務局長として外国人高齢者介護事業を担当している韓国籍の鄭錦伊理事は、ヘルパーとしての現場体験から「私が思っていた以上に問題は深刻。やることは山積み。ゆっくりはしていられない」と話す。
計画によれば初年度は外国籍高齢者の被介護状況の実態把握から始める。10月9日には外国籍高齢者のための介護保険説明会を市内で開く。韓国語と中国語の通訳を置き、当事者からの生の声に耳を傾ける。これは県「外国人地域活動デビュー支援事業」委託事業に指定されている。
さらに県内の大学生インターンシップと連携のうえ、介護事業所に韓国語や中国語を話せるボランティアを派遣したり、介護の仕方についての相談・助言も行う。3年後には市内に外国籍高齢者専用の入所型施設をつくるのが目標だ。民団川口支部の敬老会に出向き、この方針を説明した鄭理事には大きな期待の声が寄せられたという。
24日にはNPO認証取得のお祝いの会を川口市内で開き、関係者30人が出席した。来賓の萩原一寿県議会議員は、来年3月までに多文化共生の指針を策定することになっていると明らかにし、推進母体となる同NGOへの期待を述べた。
(2011.9.28 民団新聞)