日本弁護士連合会は6日、外国籍教員の管理職昇進を制限している「文部省通知」の見直しを求め、「期限の定めのない常勤講師」として任用されている外国籍教員についても、これからは「教諭」とするよう平野博文・文部科学相に勧告した。神戸市立中学校の学年副主任職を解任された韓国籍教員、韓裕治さん(46)からの人権侵害申し立てを受け、日弁連が09年から調査していた。勧告に法的拘束力はない。
同胞教員の副主任解任…人権侵害と認定
韓さんは08年、校長から副主任に任命されながら市教委から「外国人は正規の教員しかなれない主任を代行する可能性のある副主任にはなれない」との指摘を受け、翌日の職員会議で多くの教員らの見守るなか、解任された。
「深刻な人権侵害」と受け止めた支援団体は翌年、兵庫県弁護士会と日弁連人権擁護委員会に神戸市教育委員会への警告とともに、外国籍教員を任用制限のない「常勤講師」として任用するという文部科学省の運用のあり方の是正を求めていた。
こうした混乱を引き起こした要因は、91年3月22日付の文部省教育助成局通知にある。通知は日本の「公立学校教員採用試験について」「日本国籍を有しない者について受験を認めること」としたが、就任できる職種は、「教諭(または助教諭)に準じる職務」である「常勤講師」とした。
常勤講師は「校務の運営に関しては、常に教務主任や学年主任等の指導・助言を受けながら補助的に関与するにとどまる」仕事しかできない。だが、全国的には外国籍教員も主任に任命されており、教諭発令を行っている教育委員会もあるが、この間、なんら問題は生じていない。
日弁連は、「文部省通知に基づく取扱いは法の下の平等を定めた憲法14条に反する不合理な差別的取扱いであり、憲法22条が保障する職業選択の自由を侵害するもの」と認め、「任用の期限を附さない常勤講師」とすべき部分を取り消すよう求めている。
また、各都道府県と指定市町村が新たに任用する教員については、外国籍者であっても「教諭」として任用し、現在「期限の定めのない常勤講師」として任用されている外国籍教員については「教諭」とするとした内容の通知を発するよう促している。
その根拠については、「法律には外国籍の人がその能力に関わらず校長、教頭、教務主任、学年主任といった管理職に就くことができないとは規定されていない。また、教育現場における管理職に外国籍教員が就任することが、国民主権原理と両立しないとは考えられない」と説明している。
全国在日外国人教育研究所の小西和治事務局長は、「法律の専門機関が多様な角度から4年間検討した結果、現在の外国籍教員の待遇は憲法違反であり、不当な差別であると認定した。しかも、日本人と同様の教諭としての任用を求めた画期的な内容で、文部科学省と神戸市は早急に勧告に従うべきだ。これ以上、違憲状態を放置することは法治国家として許されない」と語った。
勧告受け止めよ
韓裕治さんの話「『人権侵害』という判断が出る前に、特に神戸市教育委員会には積極的にこの問題を解決しようという姿勢がほしかった。このような判断が出た以上、文科省と神戸市教育委員会はこの結果を真摯に受け止め、自らの過ちを反省し、善処していただきたい。学校現場ではいじめや差別を許さない教育をおこなっている。その教育に水を差すような行為は直ちにやめていただきたい」
(2012.3.14 民団新聞)