
クオン社主催
韓・日両国の代表的詩人、申庚林と谷川俊太郎の対談が6月30日、都内で初めて実現した。日本で「新しい韓国の文学シリーズ」を手がけているクオン出版社(東京都中央区)が、シリーズ第4弾にあたる『ラクダに乗って』(申庚林著、吉川凪訳)の刊行を記念して企画した。
対談ではなぜ、詩を書くのかで、双方の立場の違いを際立たせていた。申は韓国戦争の廃墟の中から、「生きている者、民衆に役立つものでなければ、詩の存在理由がない」と、叙情詩から芸術性の高い叙事詩へと転換していった。一方、第2次大戦直後から詩を書き始めた谷川は、人のためではなく、一貫して言葉の味わいと、美しさにこだわってきたという。自ら翻訳した『マザーグースのうた』もその一つだ。
この後、それぞれの作品を韓国語と日本語で交互に朗読し合った。申は谷川の初期の作品『二十億光年の孤独』を「軽快でありながら、ペーソスを感じた」と感想を述べたのに対し、谷川は申の哀愁あふれる作品『ラクダ』を「私の好きな詩」と述べた。
会場で、金一男さん(神奈川県川崎市、「時調の会」事務局幹事)は、「作風こそ違え、2人の詩世界は根底で共通している」と感想を述べた。
この日、会場の在日韓国YMCA地下のホール「スペースY」前には開場前から双方のファンの長い行列ができた。同社によれば、「シリーズ刊行に合わせ毎回、著者を招いてのイベントを行ってきているが、今回は特別、参加者が多い」と驚いていた。
(2012.7.4 民団新聞)