掲載日 : [2003-07-30] 照会数 : 2524
「福祉的措置」の限界指摘 同胞市民団体(03.7.30)
「在日」無年金障害者生活実態調査から
在宅の8割「家計が苦しい」
厚労省に基礎年金の支給求める
同胞市民団体「年金制度の国籍条項を完全撤廃させる全国連絡会」(李幸宏代表)は、20日までに「在日外国人無年金障害者の生活実態調査」の結果をまとめた。国が経過措置を講じなかったため無年金となった在日外国人障害者の「抜本的な解決」を厚生労働省に促すため、四天王寺国際仏教大学大学院の慎英弘教授の協力を得て調査、分析を行った。
対象としたのは在宅と施設入所の在日同胞無年金障害者合わせて36人。年齢は40歳台から70歳以上まで幅広い。地域は兵庫、大阪のほか東京、静岡、福岡など各地にまたがっている。5月10日から6月10日までの1カ月間、直接面談ないしは郵送調査した。
調査結果によれば「不安や悩み」で最も多かったのが無年金に伴う将来的な生計維持。在宅では回答者の8割が「家計が苦しい」と訴え、施設入所でも回答者全体の63・6%が「年金のこと」を挙げていた。
具体的な障害者本人の年収を聞いたところ、在宅で年収の平均は171万円。これは月収で14万2000円ほど。主な収入源は自治体からの給付金や「経過的福祉手当」「特別障害者手当」などで年間平均額は47万円、月額にすると39000円にしかならない。不足分は家族全体の収入で補っている。同報告書は「この金額の2倍である障害基礎年金と同額が受給できてこそ生活に少しはゆとりができるというもの」であると指摘している。
施設入所者は食住こそ保障されているものの日常の生活用品の購入や外出の際の介護料、交通費に費用がかかり「やりくりが難しい」状況。特に日本人との年金格差には強い不満を感じており「他の入所者は貯蓄している人が多いのに」と訴えている。やはり障害基礎年金などの収入がないと、施設入所者であっても自己実現は難しいようだと調査報告書は結んでいる。
同連絡会ではこの「生活実態調査」の結果を28日、坂口厚労相「試案」に基づき定住外国人を含むすべての無年金障害者に福祉的措置をとるとしている厚労省側に提出。「在日が無年金に至った歴史的・社会的な経過の中で当事者の置かれている状況、心情を無視した解決には納得できない。在日には基礎年金の支給こそふさわしい」と訴えた。
(2003.7.30 民団新聞)