
同胞ドキュメンタリー写真家
一眼レフを片手に東京・新宿の歌舞伎町の路地裏をはい回ってきたドキュメンタリー写真家、権徹さん(46)が、16年間にわたる取材活動の集大成ともいうべき写真ルポ『歌舞伎町』(256㌻、東京・扶桑社)を出版した。
被写体は人間の欲望渦巻く〞東洋一の歓楽街〟を舞台に日夜繰り広げられるけんか、抗争、警察の摘発、家出少女、かつて隆盛を誇ったコマ劇場など。盗撮と勘違いされないため、いつも正々堂々と被写体に向き合ってきた。それでもやくざに絡まれたり、警察に通報されて連行されることもたびたびだった。ビルの地下に監禁されるなど、身の危険を覚えたことも。
歌舞伎町には週に6日間足を運び、夜の7時から翌朝の5時30分まで歩き回る。パトカーのサイレンが鳴り響くと、現場に向かって走り出す。韓国の海兵隊に志願入隊して鍛えた瞬発力が大いに役に立ったという。
94年に日本留学。日本写真専門芸術学校に学び、在日同胞やハンセン病回復者などを精力的に取材してきた。96年、ヤクザと警察40〜50人が入り乱れての乱闘を見てから「ありのままの人間性がよく見える町」と歌舞伎町に興味を持つようになったという。
生々しい写真が続くなか、幼い子どもに向けられる権さんの優しい視線にふと心が癒やされる。1900円(税別)。
(2013.3.6 民団新聞)