掲載日 : [2003-08-27] 照会数 : 3436
絵筆で惨劇生々しく 関東大震災80周年企画展(03.8.27)
[ 生々しい同胞虐殺の事実に息をのむ観覧者 ]
高麗博物館
関東大震災時の在日同胞虐殺をテーマとした80周年企画展「描かれた朝鮮人虐殺」が20日、東京・新宿の高麗博物館(宋富子館長)で始まった。日記や記録証言として書き残された文字資料はこれまでにもかなり明らかにされているが、絵画や絵巻物に描かれた史料で虐殺事件の真相に迫った企画展示は珍しい。
展示史料は31点。当時の若き画家や画学生、小学生などがまぶたに焼き付いた惨劇を生々しく描いている。作品からはいい知れぬ驚きと恐怖、そして無言の抗議の思いさえ伝わってくる。
会場入り口に展示してある「いも畑に追いつめられた朝鮮人」は、当時10歳の少年(本横尋常小学校4年)が震災の直後、図工教員の指導で画用紙に描いた「いちばん怖かったもの」。
3人の制服警官と竹槍を持った多くの自警団、在郷軍人会の面々がイモ畑に縛り上げた在日同胞を追いつめ、いままさに襲いかかろうとしている。ひざまづいた在日同胞の恐怖でゆがんだ顔。右手には土塊をつかみ、最後の抵抗を試みようとしている。少年が疎開先の千葉県中山で目撃した光景だ。
この絵は今回の企画展を担当した新井勝紘専修大学教授が最近、東京都復興記念館の収蔵庫から偶然発見した。新井教授は「小4とも思えない絵。子どもの切ない気持ちが伝わってくる」と話している。
展示史料の中心ともいうべき「朝鮮人虐殺現場スケッチ」は80年前の惨劇を描いた水彩画。新井教授が国立歴史民俗博物館に在籍していた数年前、古書店の業者から購入した。
後ろ手に縛られた犠牲者に3人が襲いかかっている。眉間から胸にかけての鮮血が生々しい。左手には5人の死体が横たわっているのが見える。右手には軍隊から尋問を受けている2人の姿や柵越しに叫ぶ群衆の姿も。
作品は東京で震災を体験した挿絵画家、河目悌二の作品とされる。新井教授は「虐殺の現場を記録として残しておかなければならないとのやむにやまれぬ気持ちだったのだろう。誰1人助けようとしなかったことに作者も含め、現場にいたすべての者に責任があるというかのようなメッセージが伝わってくるようだ」と感想を語った。
このほか最近、民家から発見された絵巻物や52冊の文献資料も展示中。10月14日までの正午から午後5時まで(月曜日と火曜日は休館、9月1日は除く)。入館料200円(高校生以下は100円)。
問い合わせは電話03(5272)3510高麗博物館へ。
(2003.8.27 民団新聞)