掲載日 : [2003-09-01] 照会数 : 2707
同胞障害者の年金訴訟棄却(03.9.3)

「なぜ、年齢で区別」…原告が怒り
【京都】82年の国民年金制度改定後も経過措置をとらず、外国籍の障害者を引き続き障害基礎年金の対象から外してきたことは国籍差別だと在日同胞のろうあ障害者が訴えていた問題で京都地裁の八木良一裁判長は8月26日、憲法にも国際人権規約にも違反しないという判断を示した。
訴えていたのは聴覚に障害のある京都市内の在日同胞7人。国と京都府などに障害年金の請求を行い、却下されことから不支給決定の取り消しと未支給年金など計1億7000万円の支払いを求めていた。
原告団代表の金洙栄さん(51)は国籍要件の撤廃された82年にはすでに20歳を超えていたため、障害基礎年金の支給対象外とされた。判決後、金さんは「なぜ、年金をもらえる人ともらえない人を年齢で区別するのか。本当に許せない」と語った。
今回の判決に対して民団京都府本部の崔忠植権益擁護委員長は、「差別に差別を繰り返し受けてきた在日無年金障害者の人権をまったく考慮に入れていない不当判決だ。民団としては引き続き原告団に対する支援活動を続けていきたい」と述べた。
報告集会では神奈川民闘連の金秀一共同代表から「裁判所に抗議文を出そう」との声さえ聞かれた。
原告側は控訴する方針。
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経過措置とらず制度の不備放置
今回の判決は「国籍要件は憲法に違反しない」「年金支給は立法裁量の事柄」とした「塩見訴訟」ですでに確定した最高裁判例を杓子定規に適用しただけに終わった。
判決文で国籍要件のため国民年金に入りたくても入れなかった歴史的経緯については、「何らかの救済措置を講じることが望ましいことであったことは否定しがたい」と言及しているが、最終的には「立法裁量論」で切り捨ててしまった。はたして国にはなんらの責任もないと言い切れるのだろうか。
定住外国人が国民年金に加入できるようになったのは82年から。在日同胞にとっては82年が制度の発足にあたる。従って国が経過措置をとるのは当然のことである。しかし、それもなく、82年1月1日現在で20歳を過ぎていた原告らは障害福祉年金(現在の障害基礎年金)の支給対象外とされた。
厚労省は「制度の拡大の時には経過措置をとらないのが普通」と説明する。それならば、小笠原や沖縄の復帰に際して住民が無年金にならないよう特別措置をとったことは制度の拡大とはいえないのか。そもそも全国で5000人ともいわれる在日同胞無年金障害者の存在は、制度の不備から生じている。「立法裁量論」だけで切り捨てるのはあまりにも乱暴だ。
閉廷後、在日同胞の障害者が、誰もいない裁判官席に向かい「これが日本の裁判なのか!」と何回も叫んでいた。当然の怒りだろう。
(2003.09.03 民団新聞)