「韓国人は出て行け」「朝鮮人を殺せ」といった街宣デモ、ネット上での罵詈雑言といった人権侵害に歯止めをかけようと、一部の国会議員が動き出した。日本も批准している人種差別撤廃条約をベースに反差別基本法のようなものをつくり、ヘイトスピーチ(憎悪表現)は「許されない」とする社会認識を日本社会で共有していくのが目的。議員連盟設立発起人の一人、民主党の白眞勲参議院議員に聞いた。
反差別基本法めざす
−−基本法はなぜ必要と考えたのか
「街中やネット上で拡散している在日も含めた人たちへの罵詈雑言の状況に鑑みるとき、何らかの法的な枠組みが必要と考えたのが始まり。こうした差別はよくないことだ、だめだよねということを法律に書き込んだらいいというのが私の基本的な趣旨。ヘイトスピーチを直接、取り締まれればいいのだが、言論の自由、集会・結社の自由とのからみから、規制をかけるには議論に時間がかかるのではないか。であるならば、日本も批准している人種差別撤廃条約をベースとして、いろいろな差別を撲滅するような基本的な法案、法律をつくる必要があると考えた」
国の責任で啓発
−−基本法の枠組みはどのようなものになりそうか
「私自身は大きく3つあるだろうと考えている。まず、人権侵害行為があってはならないということを国民に広く啓発していく必要がある。その義務を国が負うということを明確にしていきたい。もう一つは国で人権委員会のようなものを立ち上げて、ほんとうに人権侵害があったのかを調査したり、勧告したりできるようにしていくこと。民主党政権時代には『人権委員会設置法案』を閣議決定しており、法律は比較的つくりやすいだろう。最終的にはそれでも守られなかったときのために刑罰をつくっていく必要があると考える。まずはこうした基本的な枠組みをつくろうということならば、ほかの議員から反対は出ないだろうと信じている」
超党派で議連を
−−これからの日程は
「民主党はもちろん、自民党を含む超党派の有志議員に呼びかけて議員連盟をつくっていく。有識者を集めて勉強会を重ね、ヒアリングも行いながら最終的に法案に落とし込んでいきたい。私の個人的な希望としては今国会中の法案提出が目標だ。日本のため、たとえ1歩でも2歩でも前進していきたい」