

東京・新大久保「コリアタウン」地域で10日間にわたって開かれた第1回「新大久保ドラマ&映画祭」が、先月30日に閉幕した。会期中の観客動員は延べ約7000人。宮城や長野、静岡、山梨などの遠方から駆けつけたファンもいた。同映画祭実行委員会代表委員長の李承さんは今回の経験を踏まえ、次回開催に向けたシステム作りが大事だと指摘する。観客 延べ7000人
「今、考えても何もかもが初めてで、ものすごく無謀だったと思う。でも、こういう時代に政府でも自治体でもない、地元の人たちがゼロからスタートして作り上げたことは、大きいと思う。そして日本人、韓国人、在日も含めて、一つの目標に向かって一緒に動いたという面でも意義のあるイベントだった」
そう語る一方で、李さんは「やり遂げたという満足感はなくて、反省する点がある」と語った。一つは、スポンサーに割り当てられた映画チケットの回収率が10%以下だったことだ。一般観客はインターネットでチケットを予約するが、完売なら諦めざるを得ない。だが、実際は会場の席が空いているという矛盾が生じた。
「その分を一般に回せばチケットはさばけたが、その読みを間違えた。今後、そこをどうやって解決するかが課題」。また全体予算として、スポンサーの協賛金1500万円を予定していたものの、集まったのは34団体の1100万円強だった。韓流アーティストらに支払う出演料などは、関係者の協力を得て赤字は避けられたが、資金確保の対策も考えなければならない。それでも李さんは「1回目の経験を踏まえてマニュアルやシステムを作れば、同じような問題は起こらない」と前向きだ。
映画祭実行委員会が実施したアンケートでは、「新大久保の街全体で盛り上がれるまで頑張りましょう」(60代女性)、「K‐POPと韓流に頼らない街づくりも期待している」(40代女性)など、好意的な回答が多かった。
地元商店街の人たちとの一体感も感じたという李さんは、「イベントを続けてやれば、この町は変化していくでしょう。でも、これだけの規模のものを個人の力や限られた団体でやるには限界がある。これから韓国文化院や韓国大使館など、いろいろな団体の協力を得ながら今後、10年、20年と続けていけるようなシステム作りがもっとも大事だと思っている」と強調した。
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記念シンポ
多様な個性で成長を
新大久保 地域社会発展へ連携
反韓デモに韓日関係の悪化が重なり、苦境が伝えられる東京のコリアタウンこと新大久保。この町を「多様な個性を受け入れる多文化共生の街」としてよみがえらせようと、地元の新参と古参の商店主による国籍を超え、本音で語りあうシンポジウムが3月27日、新宿区の大久保地域センターで行われた。主催は「新大久保ドラマ&映画祭」実行委員会。
口火を切ったのが同代表委員長の李承さん。李さんは「違う国籍、民族の人が一緒に住むためには、お互いに交流しながら理解しあい、信頼感をつくっていかなければならない」と述べ、これからも地域の行事に積極的に参加していくことを誓った。
これに対して、新大久保商店街振興組合の諏訪信雄理事長は、「(店先で)商店街の街頭放送が聞こえないくらいの音量」を出したり、歌舞伎町では禁止されている客引き行為に苦言を呈した。一方、「韓流の聖地」となって以来、町の規模を超える来訪者が訪れるようになったことには「こんなにも短期間で町が変わるのは驚き」と歓迎と戸惑いを表明した。
席上、在日韓国人連合会の洪性協さんは、「われわれにとって大事なのは国籍ではなく、住んでいるこの地域社会。これからも新大久保商店街振興組合とも連携して、多文化共生のまつりをやっていく必要がある。常に町として成長していくためにはイノベーション(刷新)しかない。ここに新大久保の未来がかかっている」と述べ、MOU(覚え書き)の締結を呼びかけた。
討論に先だって大東文化大学の川村千鶴子さんが「多文化共生の街・新大久保の未来」と題して基調講演を行った。
(2014.4.9 民団新聞)