掲載日 : [2003-10-01] 照会数 : 2696
在日同胞社会の建議 韓半島平和体制構築のための(03.10.1)
民主平統日本地域協議会幹事 鄭夢周(民団中央事務総長)
北韓核問題…阻止へ断固とした姿勢で
日本人拉致問題…北に円満解決強く要求を
在日脱北者支援問題…「生活保障」など要求必要
今日、第11期民主平和統一諮問会議海外委員出帆会議に際し、世界48カ国から集いました1300人の諮問委員の方々の前で、在日同胞の一人として韓半島の平和と安定に対する所信を述べる機会を得ましたことを心から光栄に思います。
既にご存知のごとく、昨年の10月に明らかになりました北韓の核開発問題は、単に韓半島だけではなく北東アジアの緊張を高めています。南北関係の縮小版といっても過言ではない在日同胞社会において、在日韓国民団は91年の世界卓球選手権大会以後、一貫して北韓を支持する朝鮮総連とその傘下同胞との和合と交流事業を推進してきました。特に「6・15南北共同宣言」以後、民団の持続的な提議によって地方本部・支部単位で積極的な交流が実施されており、同胞社会の和合にむけて多きな成果をあげています。しかも朝鮮総連同胞の韓国訪問については昨年のワールドカップ大会や釜山アジア大会の時のように同じ同胞の立場から側面的な支援も惜しみませんでした。
しかし北韓の核問題は韓半島だけではなく周辺国家、特に日本と日本に住む私たちに深い憂慮と不安を与えています。在日同胞社会では、これ以上坐視できないという声が高まっているのです。
このような声を背景に、韓国民団中央本部、金宰淑団長は、さる8月15日、第58周年光復節慶祝辞を通じ、朝鮮総連と総連同胞に、北韓の核問題と日本人拉致問題、そして在日同胞出身脱北者問題を早急に解決するために、ともに立ち上がるよう呼びかけました。
これに対しこともあろうか、朝鮮総連中央本部は8月21日に抗議書を持ってきました。彼らは、韓半島の非核化と平和構築という全民族的な願いを無視し、北韓の軍事優先政策に盲従する反同胞的な姿勢に終始していることから、私たちは失望を禁じえせませんでした。
私は、この場で同じ民族であり、同じ在日同胞の立場から、朝鮮総連と総連同胞が私たちとともに韓半島の平和構築に参与することを願いながら、本国政府に対し、いくつかお願いを申し上げることにいたします。
まず最初に、北韓の核開発問題の平和的な解決にむけて、本国政府は当事者として積極的、かつ断固とした姿勢で臨んでいただきたいと思います。
さる8月下旬に、南・北韓と米、中、日、露が初めて同席しました歴史的な「6者会談」が開催されました。私たちは、この協議を通じて核問題を平和的に、一日も早く解決されることを願ってやみません。
北韓は、今日の危機について「核の脅しを加えている米国ブッシュ政権が造成したものだ」とか、わが民族の平和は北韓の「核抑止力」で確保されている、という荒唐無稽な論理で核開発を正当化しようとしています。韓半島7千万の同胞だけではなく、在日同胞の生命と生存まで脅かす、北韓の核開発を私たちは必ず阻止しなければなりません。核開発を固執する北韓当局に対し、今こそ朝鮮総連は、同胞の立場に立ち、中止するように声をあげるべきであり、私たちと共に反核運動に立ち上がるべきです。
私たちは本国政府が、米国、日本との確固とした協調のもと、北韓に核保有と開発を放棄させ、韓半島に恒久的な平和体制を一日も早く構築するよう願ってやみません。
ふたつめに、日本人拉致問題の解決が、日本国民と日本当局の最優先課題となっています。したがって、本国政府が特に配慮を示し、北韓当局が円満な解決に取り組むよう強く要求されることを願ってやみません。
周知のとおり、昨年9月17日、金正日国防委員長は日本の小泉首相との首脳会談の時、韓国を赤化統一するための工作員を養成する目的で日本人を拉致したと明らかにし、日本社会と私たちを驚愕に陥れました。その拉致問題のために在日同胞は、甚大な被害をうけています。
日本人拉致問題は、まず北韓が一日も早く全面的な事実解明と責任所在を明白にし、被害者に対する補償を鮮明にし、速やかに解決しなければなりません。そして被害者の家族問題について、日本政府と北韓はこれ以上、政治的に利用せずに、人道的な次元で取り扱うべきです。
北韓の核開発と日本人拉致問題を口実にして、加速化する日本社会の右傾化と時代に逆行するかのような外国人排斥の風潮に対しても深い憂慮を表明せざるをえません。
私たちは、このように在日同胞社会を覆う災難の大半を、北韓が作り出しているという現実に強い怒りを禁じることができないのです。
北韓の核問題と日本人拉致問題が、本国政府の努力で円満に解決されるならば、在日同胞をめぐる逆風もおさまり、良好な環境となるでしょう。そしてさらに、北東アジアの平和構築に大いに寄与すると信じてやみません。
三つ目に、北韓を「地上の楽園」と信じて、北送された9万3千人の同胞が、北韓社会の差別と偏見、そして飢えから抜け出し、命がけで日本に戻る脱北者が増えています。本国政府は、在日同胞出身の脱北者の人権と生活を保障するよう、日本当局に強く要求していただきたいと願っております。
韓国民団の一世の先輩たちは、「北送事業」それ自体を出発当初から反対してきました。しかし、大変な危険を冒して脱北した在日同胞たちの悲惨な生活を思うと、私たちは人道的な立場から支えないわけにいかず、「脱北者民団支援センター」を設置し、救援活動を展開しています。「北送事業」を主導してきた朝鮮総連は、彼らを北韓の地に送った責任を深く反省し、同胞の生命と安全を守る立場から、私たちと共に支援活動に立ち上がることを願ってやみません。
北韓が、完全に核開発を放棄するならば、次の段階として、飢える2千万北韓同胞に対する国際的な食糧支援はもとより、破綻した北韓経済の再生のための改革開放政策に国際的な支援が可能となることでしょう。
第11期出帆会議を契機に私たちは、「参与政府」が推進する平和繁栄政策に積極的に応え、朝鮮総連と総連同胞との和合と交流事業をより一層推進していくでしょう。次の世代のために国内外の同胞が力を合わせ、韓半島の恒久的な平和と希望に満ちた未来を切り開いていくことを願いながら、私の意見開陳といたします。
(2003.10.1 民団新聞)