掲載日 : [2015-10-28] 照会数 : 4966
「徳川家康公と朝鮮通信使」…静岡市で12月、公演
[ 豊臣軍を相手に戦う松雲大師(右、通し稽古から) ]
【静岡】劇団静岡県史(松尾交子主宰)が朝鮮通信使を通した徳川時代の265年間にわたる平和外交にスポットをあてた創作演劇を12月、静岡市内で上演する。狙いは朝鮮通信使関連史資料の世界記憶遺産登録に向けたムードづくり。松尾代表は史実に基づきながらイメージを膨らませ、観客を飽きさせない仕掛けを随所にはめ込んでいくという。監修は比較文化学者で評論家の金両基さん。
ユネスコ記憶遺産登録後押し
タイトルは「徳川家康公と朝鮮通信使」。豊臣秀吉亡き後、天下人となった徳川家康は朝鮮との間に生まれた深い溝を修復するため、朝鮮王朝に国交回復を発信する。これに対し、朝鮮王朝は義僧兵のリーダーとして豊臣軍と戦った松雲大師を団長とする探賊使を対馬に派遣する。2人は1605年、伏見城で会う。この出会いが後の通信使を生んだといわれる。
舞台は秀吉の朝鮮出兵から始まり、朝鮮通信使が実現するまでを描く。舞台化にあたって金さんは「家康の平和外交によって江戸幕府の265年間、両国の善隣友好が続いた。歴史の表舞台から消されていったこの史実を信頼を基に楽しく描いてほしい。家康から3代将軍家光までの期間に絞って密度の濃い演劇に」と助言した。
松尾さんは助言をもとに、「許してもらう範囲」で歴史的事実に即しながらも楽しめる、文化的な交流面を大切にするという展開を考えた。「芸術作品とは違う。あまりに真面目すぎると観客があきちゃう」からと。
舞台の核となる伏見城での家康と松雲大師の出会いの席に、家康が朝鮮から連れてこられたおたあジュリアを同席させたことにした。「大事に育てていますよ」とのアピールだ。松尾さんは「家康が朝鮮と争う気がないことを証言したかった」という。「劇を見てもらえれば、家康へのイメージがふくらむはず」と自信を見せる。
上演予定は約100分。主な登場人物は豊臣秀吉、徳川家康、対馬藩主の宗義成、小西行長、ウイリアム・アダムス、松雲大師、おたあジュリア、朝鮮通信使(正使、副使、従事官)。演じるのは公募で選ばれた9人。韓国籍の崔斗永さんも初出演ながら重要な役柄を任されている。
劇団静岡県史は県の歴史や伝説、物語を題材に、舞台芸術を通して静岡県のまちおこしを図るために13年4月、静岡県舞台芸術センター(SPAC)の県民劇団として発足した。作品は「丸山静江物語〜静岡にもいた、おしん」(13年9月)、「しずおか徳川家康公ものがたり」(14年9月)に続いて3作目。
静岡市清水文化会館マリナート小ホールで上演。12月18日は19時、19日は13時30分開場。前売指定2000円(一般)、1000円(学生席)で発売中。問い合わせは劇団静岡県史(053・581・9885)。
(2015.10.28 民団新聞)