掲載日 : [2004-02-18] 照会数 : 3264
神戸港闇の歴史に光 「調査する会」が論文集発行(04.2.18)
韓国人らの徴用と強制労働
【兵庫】アジア・太平洋戦争末期、神戸港で荷役作業などの過酷な労働を強いられた韓国人と中国人、および連合国捕虜に関する論文集『神戸港強制連行の記録―朝鮮人・中国人そして連合軍捕虜』が在日同胞と日本人の研究者の手でまとまった。調査にあたったのは、「神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会」(代表、安井三吉神戸大学教授)のメンバー9人。99年10月の発足以来、韓国、中国にも足を伸ばし、コツコツ聞き取り調査にもあたってきた。
内容は韓国・朝鮮編、中国編、連合軍捕虜編の3部構成。各編ごとに執筆を分担し、これまでの調査資料や証言、資料を入れてある。
このうち韓国・朝鮮編の執筆を分担した在日2世公務員の孫敏男さんはパソコンを駆使して連行者名簿を分析し、韓国に渡って生き証人から聞き取り作業にもあたった。
孫さんが安養市で聞き取りした鄭壽錫さんは、40年前、故郷の江原道を離れた理由を「1週間に2,3回、軍隊訓練に行かされた。訓練で農作業ができなかったのでいっそのこと日本に行こうと思った」と自主的な応募だったことを示唆した。
これに対して、孫さんは現地で当時の江原道が雑穀主体の寒村であったことを確認、「官斡旋」募集時期が食料の底をつく3・4月に集中していたことから「巧みに計算された軍隊訓練」だったと指摘している。
第二次大戦中、神戸市内で労働に従事していた韓国人は三菱重工業神戸造船所など14の作業場で約4600人だった。
論文集は四六版347㌻。税別4500円。明石書店発行。問い合わせは電話078(851)2760、神戸学生青年センター。
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中・高校生向けの副読本も
「調査する会」は4年間にわたった研究成果を中・高校生向けの副読本『アジア・太平洋戦争と神戸港』(B5版32㌻、みずのわ出版)としても発行した。
国際港として知られる神戸港の発展の陰に韓国人や中国人、連合軍捕虜の犠牲があったことを次世代に語り継いでいくのが目的。同会のメンバー、宮内陽子さん(愛徳学園教諭、兵庫県在日外国人教育研究協議会会員)が執筆を担当した。
神戸の町に韓国人や華僑が多く居住するのは、かつて神戸港を舞台にした韓国人や中国人らに対する理不尽な強制労働があった事実を、中学生にもわかるよう体験者からの聞きとり証言も交えて冊子にまとめた。
同会では神戸市内の各学校に04年度から副読本として採用するよう関係各機関に働きかけていく考えだ。
(2004.2.18 民団新聞)