掲載日 : [2004-05-19] 照会数 : 5579
「脱北者」の学術調査始まる 支援プログラム作成へ(04.5.19)
[ 脱北者と面接する李医師(奥) ]
在日3世医師・李創鎬さん
民団センターと協力…日本定着の適応など
北韓から脱出、日本での定着を急ぐ元在日同胞らに対する本格的な学術調査が、15日から始まった。この調査は在日3世の医師、李創鎬氏(37)=東邦大学医学部大森病院=が、脱北者支援民団センターの協力を得て取り組んでいる。
李医師は02年7月からの1年2カ月、延世大学医学部に留学、同大脱北者研究チームに参加した。この経験をもとに日本型脱北者支援プログラム作成を目指している。
対象は、現在日本に住む元在日同胞の脱北者とその配偶者・子孫を含め30余人。調査は、現在の身体的・精神的疾患はもとより北韓在住時の社会的境遇や困難だった日本での生活適応状況、日本定着後の生活不安、韓日両国政府やNGOへの要望などにおよんでいる。
23歳の時に在日同胞の配偶者と連れだって北韓に渡ったある日本人の配偶者は、北韓での40数年間を振り返りながら「日本人という理由で子どもが差別されるのが何よりも辛かった」と李医師の面接調査に答えた。あわせて「(北韓へは)だまされて行ったようなもの。総連の嘘つき」と不満もぶちまけた。
現在は戸籍がないため様々な生活上の不便をかこっているという。北韓に残した子息との再会を待ち望んでいると涙ながらに語った。
李医師によれば面接は1人あたり5、6時間かかるという。第1次調査は6月までに終える予定。第1次調査が一段落すれば、中間報告を行う考えだ。さらに7月以降も第2次、第3次の調査を予定している。今回の研究には東邦大学医学部と延世大学の教授も共同研究者として名前を連ねている。
李医師は「日本が脱北者を人道的に受け入れるようにすれば国際的な評価も高まる。どのように受け入れたらいいのかを、今回の調査でそのノウハウ、ひな形をつくっていきたい。今後の難民受け入れの際にもモデルケースになるだろう」と意義を強調している。
(2004.5.19 民団新聞)