掲載日 : [2004-05-19] 照会数 : 4361
法と生活〈1〉 在外同胞向け最新法・制度(04.5.19)
父母両系血統主義に転換
法務部は、在外同胞向けに国籍、戸籍申告、出入国・在留手続き、家族関係、不動産取引、投資、兵役、刑事および民事手続きなど多様な分野の法と制度を解説した冊子「法と生活」の改訂版を昨年末に発刊した。在日同胞が知っておくと有益な最新の法と制度を紹介する。
(文責・民団中央民生局)
1 概 要
▼国籍の意義
国籍とは、どの国の国民であるかという身分または資格を意味する。例外的に国籍がない人もいるが、ほとんどすべての人は国籍を有し、その国籍によって大韓民国国民、ドイツ国民、米国国民、豪州国民などに区別される。
▼市民権と国籍
米国、カナダ、豪州などの国では市民権制度を採用している。国籍と市民権は、厳密に言えば法的意味が若干違うが内容面ではほとんど違わない。従って、市民権制度を採用している国で、その国の法が定めた資格を有し手続きによって市民権を取得した人、つまり市民権者は、その国の国民と表現してもさしつかえない。ここでは便宜上、国籍と市民権を同一の概念として、国籍という用語だけを使用して説明する。
▼国籍法の改正
97年11月18日、国会で国籍法を全面的に改正し98年6月14日から施行されている。従来の国籍法が出生当時の父の国籍を基準に子の国籍を決定する父系血統主義を採用していたのに対し、改正された現行の国籍法は、憲法に規定されている男女平等の原則に符合するよう、父母両系血統主義に転換した。また、これにともない韓国国民と結婚した外国人の国籍取得手続きを簡易帰化に単一化し、妻の隋伴取得条項および単独帰化禁止条項を削除した。これ以外にも国籍回復の不許事由を明文化し、国籍再取得申告制度・国籍選択制度・国籍判定制度などを新設した。
2 国籍法による国籍の取得と喪失
イ 出生による国籍取得
▼一般原則=血統主義と出生地主義
出生による先天的国籍取得に関して各国がとっている原則は、大きく血統主義と出生地主義に分けられる。血統主義とは、父母の国籍に従って出生者の国籍を認定する原則であり、韓国、日本、中国等のアジア圏の国とドイツ、フランス等のヨーロッパ地域の国が主に採用している。一方、出生地主義は、自国の領土内で出生した人に自国の国籍(市民権)を付与するもので、米国、カナダなど北米、中南米地域の大部分の国が採用している。
▼韓国の場合:父母両系統主義の原則
韓国は従来、血統主義の中でも出生当時、父の国籍を基準に子の国籍を定める父系血統主義を原則としていたが、現行の国籍法は出生当時、父または母のどちらかが韓国国籍を持っている場合は韓国国籍を付与する、父母両系統主義を原則としている。従って出生当時、両親のどちらかが韓国国民なら出生地に関係なく子は韓国国籍を取得する。私生児の場合も父が死亡当時、韓国国民であったならば、出生と同時に韓国国籍を取得する。
さらに、韓国は補充的に出生地主義的な要素も採用している。つまり、父母の両方が明らかでない場合と国籍がない場合、韓国で出生した人は韓国国籍を取得する。
▼先天的二重国籍になる場合
韓国が血統主義を採択している関係で米国、カナダなどの出生地主義国で韓国国民を父または母として出生した人(韓国国籍及び生地国籍)父母のどちらかが韓国国民で、その片方が日本などの父母両系統主義国の国民として出生した人(韓国籍及び外国人である父または母の国籍)は、生出と同時に二重国籍となる。
一般的に韓国は二重国籍を許容しないといわれるが、その意味は韓国籍だけを持っていた人が後に外国籍を持つようになったり、外国籍者が再び韓国籍を回復するようになった時に、いままで持っていた国籍も継続して持つことができないということ、つまり後天的な二重国籍は認めないということで、出生時から二つの国籍を持つ先天的な二重国籍者は認めている。但し、先天的な二重国籍者の場合は、一定期間(原則的に満22歳まで)が経過したら国籍を選択しなければならない。選択しなければ韓国国籍を喪失し、永久的に二重国籍状態を維持することはできない。
ロ 後天的事由による国籍取得
▼国籍回復による国籍取得
過去に韓国国民であったが韓国国籍を離脱した人(二重国籍だった者に限る)や、外国籍を取得した関係で韓国籍を喪失した人が、再度、韓国籍を取得するには法務部長官の国籍回復許可を受けなければならない。韓国は国籍回復制度とは別に帰化制度も運用しているが、帰化制度は出生以来、一度も韓国民になったことがない純粋な外国人が法務部長官の許可を受けて韓国民になる手続きをさしている。
国籍回復許可を受けようとする同胞は、国内ではソウル出入国管理事務所内法務部国籍業務出張所に、外国では韓国在外公館(大使館または総領事館)に申請する。申請時の具備書類は国籍回復許可申込書(所定書式)と次の通りである。
戸籍謄本・除籍謄本または、その他本人が韓国の国民であった事実を証明する書類国籍喪失の原因及び年月日を証明する書類(外国籍取得時にはその国籍を取得した原因及び年月日を証明する書類)隋伴取得を申請する子がいる場合、親子関係を証明する書類身元陳述書4通
※外国に居住する者は、身元陳述書の代わりに国内に住所がない事由書、住所地管轄在外公館の領事が作成、または確認した外国居住事実証明書を追加提出しなければならない。
既婚者で配偶者が外国籍の場合、従来は配偶者と一緒に国籍回復許可申請をしなければならなかったが、現行の国籍法では単独で国籍回復が可能である。
一方、国籍法は国籍回復不許可事由を規定しており、法務部長官は国籍回復の対象者であっても国家または社会に危害を及ぼした事実がある者品行が方正でない者兵役を忌避する目的で韓国籍を喪失したり離脱した者国家安保、秩序維持または公共福利のため法務部長官が国籍回復を許可することが不適当であると認めた者に対しては国籍回復を許可していない。
国籍回復許可を受けた者は、国籍回復後6カ月以内にそれまで所持していた外国国籍を放棄しなければならない。もしその期間内に外国国籍を放棄しない場合、韓国国籍は喪失する。
また国籍回復許可を受けても、住民登録証と旅券を取得するには、外国籍を放棄した事実を証明しなければならない。
▼未成年者の隋伴取得
国籍回復許可を受け韓国国籍を取得しようとする者に未成年の子がいる場合、その外国の法令上、韓国国籍を取得するのに障害となる規定がない限り、その未成年の子は父または母が国籍回復を申請する時、一緒に申請できる。これを隋伴取得といい、父または母に対する国籍回復が許可された時、一緒に国籍を取得できる。
(2004.5.19 民団新聞)