掲載日 : [2004-12-01] 照会数 : 3187
法と生活〈19〉 在外同胞向け最新法・制度(04.12.1)
(文責・民団中央民生局)
刑事事件の手続き㊥
略式命令に不服の時7日内に裁判請求
2 検事の処分
イ 起訴
検事は、司法警察官から送致された事件や直接認知して捜査した事件について被疑者が裁判を受けるのが妥当と判断する場合、裁判所の裁判に回付する。これを公訴提起すなわち起訴するといい、検事によって起訴された人を被告人という。
検事が被疑者に対して懲役刑や禁固刑で処罰するより罰金刑で処罰するのが相当だと判断した場合には、起訴と同時に裁判所に対して罰金刑に処してほしいという意味の略式命令を請求することができる。これを略式起訴という。検事が拘束された被疑者に対して略式起訴をする場合には釈放しなければならない。
略式起訴の場合、判事は公判手続きを経ず捜査記録だけで裁判をすることになる。しかし、判事が略式手続きによるのが不適当だと考える場合、正式裁判に回付して公判を開き裁判をすることができる。判事は検事が求刑した罰金の金額に拘束されることなく加減して刑を決めることができる。被告人や検事は判事の略式命令について不服があれば7日内に正式裁判を請求できる。
実務上、検事が略式起訴をする場合、刑確定後の執行のため求刑に該当する罰金相当額を被告人にあらかじめ前納させる。罰金を前納した被告人は略式命令に記載された罰金を再度納付する必要がない。
ロ 不起訴
検事が事件を捜査した結果裁判に回付しないことが相当だと判断する場合、起訴せず事件を終結させる、これを不起訴処分という。不起訴処分の中で、重要なものとして起訴猶予と嫌疑なしの処分がある。
▼起訴猶予
起訴猶予処分とは、罪は認められるが被疑者の年齢や環境、被害者に対する関係、犯行の動機や手段、犯行後の状況などを斟酌し、起訴して前科者にするよりはもう一度真面目に生きる機会を与えるために検事が起訴しないことをいう。
通常的に一度起訴猶予処分をした犯罪事実に対して特別な事情がない限り再び起訴しないことが慣例である。だが、もし起訴猶予を受けた後に過ちを反省できず再び犯罪を起こすなど特別な事情があれば検事は起訴猶予処分した犯罪について新たに起訴できる。
▼嫌疑なし(無嫌疑)
嫌疑なし処分とは、検事が捜査した結果、被疑者の行為が犯罪を構成しなかったり犯罪を認めるに足る証拠がない場合に行われる。もちろん嫌疑なし処分をした後に新証拠が発見されれば検事は起訴できる。
また民事上の債務不履行に該当し嫌疑なし処分をした場合、刑事上処罰することができないことを意味するだけで、民事上の債務まで免除するものではないことに注意する必要がある。
3 形事裁判および刑の執行
イ 裁判
▼裁判一般
裁判所は検事が起訴した事件について公判を開き公開で審理をする。被告人は自分の無実や正当性を主張することができ、また弁護人に弁護してもらうことができる。
裁判は事件によって判事1人が行ったり、判事3人で構成された合議部で行ったりする。原則的に短期1年以上の懲役刑に処することができる事件は合議部の管轄である。単独判事が行った裁判については地方裁判所の抗訴部に、合議部で行った裁判については高等裁判所に抗訴できる。地方裁判所抗訴部および高等裁判所の裁判に対して不服がある場合には、最高裁判所に上告できる。
▼有罪の判決
審理の結果、被告人の罪が認定されれば判事は有罪の判決を宣告するが、実刑を宣告したり、情状によって執行猶予を付けたり、宣告猶予することもある。執行猶予は、懲役刑や禁固刑を宣告しながら一定期間その刑の執行を先送りし、その期間中に再犯せずに無事に生きることができれば刑の宣告を失効させることである。宣告猶予は、刑の宣告自体を延ばしてやり一定期間無事に経過すれば免訴されたとみなすもの。
▼無罪の判決
起訴した事件に対して有罪と認定する証拠がなければ判事は無罪を宣告する。拘束されながら裁判所で無罪の判決を受けたり検事から不起訴処分(起訴猶予処分は除外)を受けた人は刑事補償法によって拘禁に対する補償を請求できる。
ロ 保釈
検事によって拘束起訴された被告人は、裁判を担当している裁判所に保証金を納付することを条件に釈放してくれることを請求できる。これを保釈という。保釈保証金は現金のほか、保釈保証保険証券を添付した保証書で替えることもできる。保釈は、被告人はもちろん弁護人と被告人の法定代理人、配偶者、直系親族、兄弟姉妹、戸主も請求できる。
裁判所は被告人の財産状況と犯罪の性質、証拠などを考慮して相当な保証金の納付と住居を制限するなどの条件を付けて保釈を許可するのが普通であり、被告人などの請求がなくても裁判所が職権で許可する場合もある。
但し、被告人が死刑、無期または長期10年以上の懲役や禁固に該当する罪を犯した者や常習犯の場合、被告人が被害者、証人などの生命・身体や財産に害を加えたり加える心配がある場合には保釈を許可しないことができる。
裁判所が逮捕または拘束の適否審査を請求した被疑者に対しても職権で被疑者の出席を保証するに足る保証金の納入を条件に釈放を命じることができることは前述のとおりである。
ハ 刑の執行
裁判所で宣告された刑は、検事の指揮によって執行するが、懲役や禁固刑は刑務所で執行される。そして、罰金刑は判決確定日から30日以内に納付しなければならず、納付しない場合には1日以上3年以内の範囲で労役場に留置される。
ニ 仮釈放と刑執行停止
▼仮釈放
懲役または禁錮刑を執行中の人のなかで服役成績が良好で反省している時には、無期刑の場合10年、有期刑で刑期の3分の1を経過した後に法務部長官が仮釈放することができる。
仮釈放期間は無期刑では10年とし、有期刑では残った刑期とするが、その期間は10年を超過することができない。
仮釈放された人は仮釈放期間中、保護観察を受ける。仮釈放規則を破ったり再び罪を犯せば、仮釈放が取り消しまたは失効し、残った刑期を全部服役しなければならない。
▼刑執行停止
刑の執行で生命を保全できないか、妊娠後6カ月以上、または年齢が70歳以上、その他重大な事由があれば検事は刑執行を停止させ釈放することができる。
(2004.12.1 民団新聞)