掲載日 : [2004-12-08] 照会数 : 5275
韓国風が席けん 様変わりする日本の学校給食(04.12.8)
[ 学校給食に韓国風メニューがますます浸透している ]
キムチ鍋、プルコギ、チヂミも
日本の小中学校の給食メニューが多彩になり韓国風がますます浸透している。しかし、キムチ鍋、豚キムチ丼、チヂミまでが人気上位になっていたとは…。
給食といえば、脱脂粉乳とぱさぱさのコッペパンに、大豆とひじきの煮物ばかり食べさせられた世代には隔世の感であろう。とにかく、韓国物の充実ぶりには目を見張らされる。
東京・世田谷区立東深沢小学校の場合、まずナムルが登場し、ついでピビンバとわかめスープのセットが定番になったのが20年ほど前。その10年後には、小ネギやニラも入った豚キムチ丼の人気が沸騰、最近ではキムチチャーハンやチヂミがトップランクに踊りでた。しかも、これら韓国物がすべて人気上位メニューとして定着している。
この道33年の同校栄養職員、関はる子さんによれば、キムチも日本風の浅漬けではなく、発酵した本格的なものを使うとのこと。ただ、辛さは低学年と高学年では変えている。
給食は学校や地域で個性があり、韓国物の普及度や人気メニューも異なる。全国的な統計もない。だが、各学校などのホームページに掲載された献立表には韓国物が踊っており、単品としては人気が集中している様子が分かる。
渋谷区立広尾中学の献立表には、キムチ丼、キムチチャーハン、ピビンバがあり、キムチについて「白菜を中心に作られたものですが、乳酸菌の働きで有用な腸内細菌を増やし、腸内環境を良くします」との説明があった。
生徒たちの反応は正直なもので、コメントに「魚は気持ち悪い」「豆は苦手」「酢の物はいやだ」とあるのに、キムチ丼には「すっごく食べた」とか、キムチチャーハンにも「うまかった。牛乳2本飲みたかった」などとある。
広島県の安浦町立東野路小学校は、パンを除く食材のほとんどを自校で発注し調理している地産地消のモデル校だ。同校では年1回の給食試食会があり、保護者に食べてみたい献立のアンケートに基づいて試食メニューを決め、子どもたちの教室で一緒に食べる。一昨年はピビンバだったが、保護者から「日頃食べない野菜をよく食べるのにびっくりした」との感想がたくさん寄せられた。
「そこまで?」と思わせるのは、大阪・吹田市教育区で、ピビンバ・キムチ入り卵スープ、ピビンバ・わかめスープ、豚肉とレンコンのキムチ炒めなどに、必ず韓国風味付けノリが添えられていることだ。千葉県柏市の中学校に登場したキムチ鍋もそうだろう。保護者向けにレシピまで掲載している。佐世保市の小学校にはプルコギもあった。
栄養職員の関さんはベテランらしく、「学校や地域によって好みが違い、同じ韓国物でも人気度が異なるが、まず外食で韓国料理に親しみ、それが一般家庭に定着して、学校給食に採用して欲しいという要求につながった」と分析する。
「キムチの匂いは?」の問いに、「準備中から匂いますし、食後は教室、廊下からしばらく消えません。でも抵抗ないようですよ。むしろ、納豆の匂いを嫌がりますね」と笑った。
日本のある市場調査会社によれば、2000年にキムチ鍋用が牽引して一気に100億円規模になった鍋ツユ市場は、その後も増勢が衰えず、03年には140億円を突破し、キムチ鍋用はちゃんこ鍋、寄せ鍋用を大きく凌駕して60億円に迫っている。
(2004.12.8 民団新聞)