掲載日 : [2005-01-19] 照会数 : 2930
法と生活〈21〉 在外同胞向け最新法・制度(05.1.19)
(文責・民団中央民生局)
民事事件の手続き㊤
訴えは訴状作成し管轄裁判所に提出
1 概要
イ 民事訴訟の意義
人々の間に利害関係が衝突して紛争が生じる場合、国家機関である裁判所が紛争当事者の間に介入して紛争を調停・解決する手続きを民事訴訟という。
ロ 原告と被告
民事訴訟を提起する人を原告、その相手側を被告という。個人や法人はもちろん同窓会のような事実上の団体も民事訴訟の原告、被告になりうる。ただし、未成年者のような法律上無能力者は法定代理人が訴訟を代理しなければならない。
ハ 訴訟提起裁判所
原則的に被告の住所地を管轄する裁判所に訴訟を提起しなければならないが、原告の便宜のためにいろいろ例外が認められている。たとえば、貸与金請求などの場合はその債務履行地である原告の住所地を管轄する裁判所、交通事故による損害賠償請求の場合は事故地を管轄する裁判所に訴訟を提起できる。
2 民事訴訟提起方法
民事訴訟を提起するには訴状を作成して印紙を付けて管轄裁判所に提出すればよい。
イ 訴状の記載事項
▼当事者
原告、被告の住所・姓名が明確に記載されなければならない。被告の居住地がわからない時には疎明資料を添付して公示送達を申請できる。
▼請求趣旨
請求趣旨を特定して記載しなければならず、「被告は原告に1000万ウォンを支払え」というように原告が判決を通じて得ようとする結論を記載する。
▼請求原因
請求原因を記載しなければならず、「原告は1999年5月1日被告に1000万ウォンを貸したが、弁済約定期日の99年10月31日が過ぎたのに被告はこれを返していない」というように民事訴訟を提起する理由が何かを具体的に記載しなければならない。
ロ その他必要事項
訴訟目的価額の0・5〜0・35%相当(訴訟物の価額によって決定される)の印紙を付けるか、銀行に現金で納付しなければならず、被告の人数分の訴状副本を作って提出し、この時法廷送達料も一緒に前納しなければならない。
3 民事訴訟の進行
イ 訴状副本の送達
民事訴訟が提起されれば、裁判長は訴状副本を被告に送達し被告に対してどんな訴訟が提起されたかをあらかじめ知らせる。
ロ 外国裁判所の訴訟書類の送達問題
▼送達方法
外国裁判所で韓国に居住する被告を相手に訴えを提起した場合、訴訟書類の送達が問題になる。
現状では外国裁判所がその国に駐在する韓国大使館を通じて訴訟書類の送達を依頼すれば、韓国外交通商部を経由して韓国裁判所に送達嘱託をする方式で送達が行われる。これは相互主義原則のもとに行われるものなので、その実効性は保障されない。
ところが、2000年8月1日からは韓国に対してハーグ国際司法会議の付属協約である「ハーグ送達協約」が発効し、今後は同協約に加入した国家間(現在まで民事司法共助を必要としていた国家のうち、約90%が同協約に加入している)には外交経路を経ずに直接韓国の裁判所行政処で訴訟書類を受信して送達するようになるので正確かつ迅速な送達が可能になった。また同「ハーグ送達協約」によって強制力を使わない限り自国の外交官または領事を通じて海外居住自国民に対し訴訟書類を直接送達できるようになった。
一方、2000年1月16日から韓国初の2者間民事司法共助条約である韓・豪民事司法共助条約が発効し、豪州とは相互訴訟書類の送達だけでなく映像電送を通じた証拠調査およびファクシミリや電子メールを通じた送達証明書の送付が可能であり、相手国の事前許可を得てその国の中での証拠調査も可能になった。
ハ 裁判進行手続き
▼自白と否認
裁判長が、事件を受け付けた順序に従い弁論期日を決め、原・被告を召還する。弁論期日に出席した原告はまず「1000万ウォンを貸した」という事実を主張し、被告はこれに対して認定(自白)または否認する答弁を行う。注意する点は返答をしなければ自白したと同様に扱われ、知らないと言うことは否認したと扱われることである。
▼抗弁
その外に、被告は「お金を借りたことはあるが(自白)、その後に返した」、または「借金で相殺した」など新事実を出すこともできる。これを抗弁といい、この抗弁に対して原告は自白、否認などの答弁を行い、訴訟が進行する。
▼主張および答弁の方法
主張、答弁は原・被告が弁論期日に出席して口答で行うのが原則だが、書面で提出することもできる。これを準備書面または答弁書(被告の最初の準備書面)と呼ぶ。実際には訴訟上の主張、答弁は、簡単なことを除いてはあらかじめ書面で準備してこれを提出した方がよい。
ニ 立証
主張または抗弁事実に対して相手方が否認したり知らないと答弁すれば、主張または抗弁をした者がそれを立証しなければならない。
ホ 弁論期日不出席に伴う不利益
裁判所から弁論期日に出席せよという通知を受けてから、特別な事情なしに出席しなければ次のような不利益を受けるようになる。
▼擬制自白
原・被告中のどちらか一方が召還(公示送達除外)を受けても出席しなければ、出席した方が主張する事実を自白したものと見なされるので(ただし、欠席しても準備書面で提出した答弁は認められる)不利な判決を受ける可能性が非常に大きい。
▼双方取下
双方が計2回にわたって適法な召還を受けても出席しなかったり弁論をしない時には、その後1カ月内に期日指定申請をしなければ、訴えが取り下げられたものと見なされる。
4 訴訟手続きの終了
イ 判決
裁判所が審理を完了した時に弁論を終結し、宣告期日を決めて判決を宣告する。
ロ 訴えの取下げ
原告が判決確定の前に訴えを取り下げる時は訴訟は終結される。ただし、被告が準備書面を提出したり弁論をした後には、被告の同意を得なければ訴えを取り下げることができない。そのほかに請求の放棄(原告が自分の訴訟上の請求に理由がないことを認めること)、認諾(被告が原告の請求に理由があることを承認すること)、当事者間の和解などでも終了する。
5 上訴
イ 抗訴
1審で敗訴判決を受けたが不服な場合、判決の送達を受けた日から2週間以内に抗訴状を作成し1審裁判所に提出すれば、判決が確定されないで抗訴審で再び裁判を受けることになる。抗訴状に付ける印紙額は1審の1・5倍である。
ロ 上告
抗訴審の判決に対して不服な場合には判決文送達日から2週間以内に上告状を抗訴審裁判所に提出しなければならない。上告状に付ける印紙額は1審の2倍である。
6 確定と強制執行
イ 概要
当事者は判決が確定した場合には訴訟記録がある裁判所で判決確定証明書を、確定前判決中仮執行宣告が付いた判決の場合には判決正本送達証明書をもらい、判決に執行文の付与を受け、これを執行権原にして強制執行をすることで訴訟の目的を達成する。
ロ 金銭債権に関する強制執行手続き
①執行権原の確保
強制執行できる権利を認める公的な文書が執行権原である。代表的なものが「被告は原告に1000万ウォンを支払え」という履行命令が記載された確定勝訴判決である。そのほかに仮執行宣告が付いた未確定判決、認諾調書、和解調書、調停調書、支払い命令、公正証書などがある。
②執行文付与
前述のような執行権原に「上の正本は被告誰々に対する強制執行を実施するために原告誰々に付与する」という趣旨を記載して裁判所職員や公証人が記名捺印するものが執行文付与である。ただし、公証人は公正証書に対してのみ執行文を付与することができる。
執行文は、執行権原を持って第1審裁判所や公証人事務所へ行き申請すれば簡単に処理してくれる。
③強制執行手続き
▼執行官への委任
前述のような関係書類を準備して管轄裁判所に属する執行官事務室に行き執行を委任しなければならない。
▼差し押さえ
動産差し押さえの場合、動産がある現場へ行って差し押さえをしなければならないので、事前に執行官と協議して時間を決め現場まで案内し、債務者が故意に避けて現場にいない場合も多いので、参与人となる成人2人をあらかじめ確保した方がよい。不動産の場合、裁判所が競売開始決定を行い、その事実を不動産登記簿に記載することによって不動産を差し押さえた効果が生じる。また、金銭債権の場合、裁判所は差し押さえ命令を発し、支払い禁止命令を下すが、この場合、債権者は取り立て命令を申請し債務者の代わりに第3債務者からお金を受け取ることもでき、転付命令を受けて金銭債権自体の移転を受けることもできる。
(2005.1.19 民団新聞)