掲載日 : [2005-01-19] 照会数 : 5108
よみがえる解放前の同胞生活史 新聞報道3万件データベース化(05.1.19)
[ 解放前(戦前)の新聞のマイクロフィルムを調べる京都大学の水野直樹教授 ]
京都大 水野直樹教授が分類・整理
【京都】解放前の在日同胞の生活や民族運動などの様子を知ることができるデータベース「戦前日本在住朝鮮人関係新聞記事検索」に収められた見出しが、総数3万件を突破した。見出しだけとはいえ体系的に分類・整理されているため、インターネット上の検索が容易になっている。在日史を掘り下げていくうえで貴重な手がかりとなりそうだ。
ネット検索容易に
データ件数は現在、3万521件を数える。
元になったデータは在日韓国人史研究家、堀内稔さん=兵庫県=が10数年かけてマイクロフィルムから掘り起こした1万6千件余り。
堀内さんは79年から故朴慶植氏が中心となって発足した在日朝鮮人運動史研究会・関西部会に所属、一貫して「兵庫県の在日朝鮮人」研究に取り組んでいる。堀内さんからの要請を受けた京都大学の水野直樹教授が、誰でも容易に検索できるようにと京大人文科学研究所のサーバーに載せた。
98年10月の公開当初は神戸新聞、神戸又新日報、大阪朝日新聞の神戸版など、京阪神地区で発行された主に1905年から1945年までの記事が中心だった。ホームページを公開してからは、金国雄さん(愛知県在住)ら各地の研究者が福岡日々や門司新報、京都、広島、愛知関係、さらに京城日報などの記事データの収集・作成に協力してきた。
各データは堀内さんと水野教授が試行錯誤を重ねながら社会、労働、融和、教育、渡航、密造酒、犯罪、選挙など25項目に分類、整理した。社会には厳密に分類できないものも入れており、数的には1万868件と最も多い。ホームページ上での検索は年代、地域、新聞名でも可能。
「借家人」で検索してみると、大阪では家主の家賃値上げや立ち退きの強要に対する抗議の交渉が多かったことが分かる。「選挙」ではハングルでの投票を認めるという記事も見られた。
堀内さんは「他の地域の新聞データを見比べることができるので『密造酒』の摘発記事がいちばん早く報道されたのは?といった問いの答えを探すこともできる。データを活用して在日朝鮮人研究がさらに深化すればいい」と話している。
ただし、地域的には京阪神で全体の半数以上を占めており、東日本を含む全国的なデータ収集が今後の課題だ。当時の韓国人の視点を知るうえで朝鮮日報や東亜日報の支局や通信員が東京大阪など日本各地から発信した記事のデータ収集も大切だと水野教授は話している。
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研究深化に期待
飛田雄一さん(神戸学生青年センター館長)の話
「データベースをよく利用している。新聞のマイクロフィルムを見る作業は本当に大変であるが、各地の研究者が自分で研究するだけでなくて、その多くの時間とお金を費やした『成果』を無償で提供してくださっていることに感謝している。これにより研究が更に深化することを期待する」
(2005.1.19 民団新聞)