掲載日 : [2009-09-02] 照会数 : 23698
衆院選開票結果 全国地方団長の声
地方参政権獲得運動…予断排し堅実に行く
衆議院総選挙の結果、地方参政権付与に賛成の議員が多数、当選した。各地で意中の候補を支援してきた民団本部団長はこの結果をどう受け止めたのか。聞くと、「これからがスタート」と、比較的冷静に受け止めていることが分かった。付与に向けた環境は確かに整いつつあるが、これからもう一押しも二押しも必要と、自らを奮い立たせるかのように語った。
これからが勝負
金泰勲さん(民団北海道本部団長) 民主党の圧勝により、マニフェストに則して「地方参政権法案」もやっと俎上に乗せられると思うが、民主党内に反対者もおり、予断を許さない。法案化されるのが後回しになる可能性もあり、これからが勝負だ。自民党内には賛成議員もおり、いかに対応していくか、今度の全国団長会議で今後のスケジュールをしっかり論議することが肝要だ。
李根さん(民団宮城本部団長) 民主党の一人勝ちだが、民団の立場からは「外堀」を埋めただけにすぎない。当選した大量の新人議員には「定住外国人の地方参政権」について知らない人が多いはずで、各地で一人ひとり理解を求めていくしかない。また、自民党との軋轢をどう解消していくかも重要課題だ。特定の政党にこだわらず、地方参政権に賛同する議員を増やしていくのが基本姿勢だからだ。
鄭平普さん(民団埼玉本部団長) 埼玉は民主党候補者が小選挙区すべてで当選した。しかし、当選者全員が地方参政権に賛成しているわけではない。これからも続く長い道のりを考えれば、やっとスタートするための権利を得られたところでしょうか。
李時香さん(民団東京本部団長) 民主党が政権を取ったからといって地方参政権問題をすぐに取り上げるのが難しいのはよくわかっている。時間はかかるでしょう。でも、十分可能であると私は確信している。
李富鉄さん(民団神奈川本部団長) 神奈川で地方参政権付与にいちばん熱心だった肝心要の与党系議員が惜しくも落選した。民主党が勝ったからといって明日にでも可決するのでは、と考えるのは甘い。16年間の総決算というが、そんなに簡単なものではない。
組織結束強まる
梁東一さん(民団愛知本部団長) 今回の選挙は日本の人にとっては歴史的な出来事だった。だが、在日にとっても熱い1日だったといえる。これほど日本の国政に関わったことはかつてない。分団員たちも一丸となって動き、結束がこれまで以上に強まった。今回の選挙結果は第1段階。次の第2段階では民団の要望活動をさらに強めていかなければならない。
申載永さん(民団三重本部団長) 今回の選挙結果についてはよかったと思っている。今の疲弊した自民党の政治を一掃するために、「自分たちの力でやる」という思い切った人間を導入できると思うからだ。民主党が掲げているマニフェストを早期に実行することで、地方参政権問題にも早くかかわってくれるのではないか。
韓清二さん(民団岐阜本部団長) 民団の16年間におよぶ運動がやっと芽を出したのかと思う。しかし、こうした在日の民意が国政に確かな形で反映されるのかどうか。考えると少しばかし不安であり、切なくもある。
王清一さん(民団京都本部団長) 何度も支援候補者の事務所を訪ねた。こんなに必死に回ったのは初めてだ。京都日韓協の千玄室会長の言っていた「歴史の変化、心の変化、21世紀の変化」を実感した。早速、当選あいさつに行き、参政権のことを忘れないようにと、何度も念を押してきた。
金漢翊さん(民団大阪本部団長) 民団16年間の活動がやっと届いた。民主党への追い風に民団の信念が共鳴した賜り物だ。本部と支部ががっちりとスクラムを組んだ結果、組織活性化にもつながった。まだスタートラインに立ったばかりだ。民主党の中にも慎重派がいる。その人たちに直接会い、こちらの意向を理解してもらえるよう活動を継続していく。
趙政夫さん(民団奈良本部団長) 旧弊としがらみだけにとらわれたお年寄りたちには、今度こそ第一線から勇退していただきたい。地方参政権が16年間、たなざらしになってきたのも、もとはといえばそこにある。
必ずや法制化を
車得龍さん(民団兵庫本部団長) 昔から一貫して地方参政権獲得運動に協力してくれた一部の立候補者が落選したことで、選挙運動の厳しさを実感した。民主党は公明党などと協力、必ずや法制化を実現してくれるものと信じているが、油断してはならない。
権五源さん(民団広島本部団長) 民主党の圧勝は喜ばしいこととは思うが、マニフェストの実行、日本の景気回復、高齢者福祉など、問題は山積している。「党の方針に掲げてある」からと気を緩めず、初心を忘れず、さらに深い理解と行動を求めていきたい。
韓賢澤さん(民団山口本部団長) 民主党候補は定住外国人の地方参政権問題を公約として語っていただけに、法案化を推進していくものと期待している。世界的な国際化が進む中で、今回の選挙で有権者は、日本をもっと開かれた社会にすべきだと示したのではないか。
朴興謨さん(民団福岡本部団長) これでようやく、地方参政権付与に向けた論議が土俵に上がったと思う。これから民団中央と地方が力を合わせ、攻勢をかけていこう。議員が地元に帰ってくれば、私たちが訪問する。東京では中央にお願いしたい。決して手綱をゆるめてはなるまい。
(2009.9.2 民団新聞)