掲載日 : [2009-11-05] 照会数 : 6427
<民団県央支部>手作り韓国史発信 檀君から現代まで3年計画
[ 独立運動家を描いた漫画を手にする金正吉支団長(左)と事務員の石岡福連さん(民団県央支部で) ]
【神奈川】タイムマシンで5000年前まで遡りながら歴史物語の旅を楽しめる講座「楽しく読める韓国史」が、民団神奈川・県央支部(金正吉支団長)のホームページ上で閲覧できる。金さん(53)が今春、支団長就任を機会に韓国史の面白さを在日の若い世代に伝えたいと企画した。12年までの任期3年間で完結する長期連載だ。また、韓国国内の代表的な独立運動家をシリーズで紹介する漫画冊子の刊行も始めた。
漫画で独立運動家も紹介
連載「楽しく読める歴史」は金さん自ら執筆。「檀君誕生」からスタートして現在は「新羅の滅亡」(第14回)まで進んだ。1カ月で平均3話読めるペース。1回分の字数は2300字前後とコンパクトだ。
歴史は民族や国家が大きく絡むと、固いものになりがちだ。これを避けるため、金さんは登場人物をいきいきと描いた。団員からは「こんなに韓国の歴史が面白いとは知らなかった」(60代、在日2世)という感想も寄せられている。
9月からは、自らの命をかけて祖国に尽くした独立運動家を分かりやすく漫画で紹介するシリーズも始めた。金さんは来年の韓国併合100年を前に「あらためて歴史の事実を正しく認識し、教訓にしたい」と話す。原本は韓国の民族正気宣揚センターが韓国語で発行した冊子。同センターから許可を得て日本語に翻訳した。毎回100部程度を印刷、希望者に無料配布している。第1回には「3・1独立運動の主役」孫秉煕を選んだ。10月に安重根義士、11月以降は金九、尹奉吉、安昌浩、崔益鉉、柳寛順などを順次紹介していく。来年の9月には12人全部が出そろう予定。実務は金さんと支部事務員の石岡福連さんが分担している。翻訳を一手に担う金さんは「間違った訳はできない」と細心の神経をはらっているという。
「国の歴史は自分の国の言葉の次に大事だと思う」というのが金さんの持論。歴史が好きでさまざまな文献を読みあさった。言葉は駐日企業勤務当時に実践で鍛え、身に付けた。いまでは韓国語能力検定試験6級のお墨付き。
ホームページ開設は支団長に立候補したときからの公約。このほか、韓国語講座開講、定期的な映画会と次々に実践してきた。この結果、長期的に漸減傾向にあった団費集金額に歯止めがかかり、わずかながら上向いてきた。
金さんは「まだまだ支部の運営は楽ではないが、民団の活動が少しずつ理解されてきた証なのでは」と胸を張った。
(2009.11.5 民団新聞)