掲載日 : [2009-12-23] 照会数 : 9514
「北送50年」被害同胞の救済誓う
[ 共催者あいさつを行う山田文明「守る会」副代表 ] [ パネルディスカッション ]
講演会に続き決議集会 民団・「守る会」
「北送」開始から丸50年となった14日、民団中央本部と「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」は、東京都千代田区の韓国YMCAで「北送50年特別講演会〜今も続く悲劇〜」を共催した。参加した200人は、講演会に続き「北送50年‐被害同胞の救済を誓う決議集会」を持ち、北韓当局と総連に抗議する決議を満場一致で採択した。
講演会の主催者あいさつで林三鎬民団中央副団長は、北送開始当時、北韓・総連はもとより日本のマスコミまでが「北は地上の楽園」と賛美する中で、唯一民団だけが反対し阻止運動を展開したと指摘し、「北送同胞」の人権改善と往来の自由が認められるまで闘うことを呼びかけた。
山田文明「守る会」副代表は「脱北者の救出と日本定着への支援と協力」を求めるとともに、「日本に戻った帰国者にとって日本が良き永住の地となるよう努力する」と決意を表明した。
梁永厚・関西大学人権問題研究室特別研究員(元朝鮮学校教員)が「北送事業の開始前後〜体験談を通して〜」、朴斗鎮・コリア国際研究所所長(元朝鮮大学校教員)が「朝鮮大学校学生200人の送り込みに見る帰国運動の本質」、山田副代表が「北朝鮮の帰国事業に対する訴訟の内容と目的」と題してそれぞれ講演した。
朴斗鎮氏をコーディネーターとしたパネルディスカッションでは、鄭斗壽・民団東京本部顧問が50年前の北送反対運動の当事者として発言した。また、脱北し約45年ぶりに日本に戻ることができた元在日同胞女性(50代)が、脱北に至るまでの北韓での厳しい生活と家族の運命、日本人妻たちの処遇、脱北成功後の中国での長期にわたる悲惨な生活などについて証言。「脱北者を少しでも支援してほしい」と訴えた。
集会では、総連に対して①「帰国事業」が「社会主義の楽園」という偽りの北韓賛美に基づく暴挙であったことを認め、謝罪せよ②「帰国同胞」の苦境打開のためにも北韓当局に対し、人権改善ならびに出国の自由を認めるよう要求せよ③脱北して日本に入国した北送同胞に対し2次加害を犯すことなく、彼らの安定した生活実現に奉仕せよ④改革・開放と民主化以外に北韓を救う道がないことを率直に認め、その実現の一翼を担え−−と決議した。
□ 「過ち認め謝罪せよ」総連本部前で シュプレヒコール
「北送50年特別講演会」に先立ち同日、民団中央本部の韓在銀・林三鎬副団長をはじめ民団東京本部、婦人会中央本部、青年会中央本部幹部、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の山田文明副代表ら約20人が総連中央本部を訪問し、「総連は北送の責任を取れ」と抗議した。門を閉ざした本部の前で林副団長と山田副代表が、それぞれ抗議文を読み上げた後、全員で「『北送事業』が過ちであったことを認め直ちに謝罪せよ」「『北送同胞』の出国の自由を実現するよう努力せよ」とシュプレヒコールした。
(2009.12.23 民団新聞)