掲載日 : [2009-12-23] 照会数 : 11071
<平和統一フォーラム>「民団の質的強化を」
[ 「在日同胞の未来への提言」を主題にして18日に開かれた「平和統一フォーラム」 ]
在日社会の統合に向けて
「在日同胞の未来への提言」を主題とした民主平和統一諮問会議日本地域東部協議会(許孟道会長)の主催による「平和統一フォーラム」が18日、関東・東北地区各民団本部団長、諮問委員ら160人が参加して東京都港区の韓国中央会館で開かれた。討論者は、多様化する在日社会の今後の統合について、将来の祖国の民主的平和統一と日本における多文化共生社会構築、東アジア共同体構想などをも踏まえ、文化的統合にもっと英知を集め力を注ぐべきだと提言した。
教育・文化こそ根幹
許孟道会長の開会辞に続き、鄭進・平統日本地域副議長(民団中央本部団長)はあいさつで「祖国分断により在日社会では民団と総連が対立してきたが、今日南北の発展競争の勝敗はあまりに明らかだ。在日同胞社会の統合に向けて、今日のフォーラムでは忌憚のない意見交換を期待したい」と要望した。
主題発表した金一男・民団直選中央委員(韓国現代史研究家)は「祖国と日本と、二重の文化的アイデンティティにより構成されている在日社会の進路は、基本的には、日本社会の変化に依存するとともに、『本国情勢』にもかかっている。今後の10年は私たちにとって運命の10年となる」と強調。「『在日社会の統合』のプログラムは、今のところ、主な与件を北韓情勢の帰趨に依存している。金正日政権はすでにレイムダック状態にある。誰もが『金正日政権後』を考えている」と指摘した。こうした状況を踏まえて「在日社会の統合」の可能性とその効果を考えることを提言した。
姜又石・東部協議会幹事(民団中央本部組織局長)をコーディネーターとした討論会では、民団の役割について林宏・民団中央平和統一推進委員長は「これまで祖国の経済的発展に寄与してきたが、今後の民主的平和統一にどう貢献できるのか、問題意識を高めながら、民団こそ在日社会統合の中核的役割を果たしていかねばならない」と強調。「同胞としてのアイデンティティを大事に、もっと民族教育に力を注がなければならない」と表明した。
朴斗鎮・コリア国際研究所所長(元朝鮮大学校教員)は「『5・17民団・総連共同声明』(06年)みたいな政治ショーではなく、生活を中心として統合へ進むべきだ。現在、在日の経済的統合はやりやすくなっている」と指摘。「若い世代にとっても魅力ある組織であるためには、民族教育の拡大と文化的アイデンティティの維持に力を注ごう。それを財源的にバックアップするためにも英知を結集してほしい」と注文した。
「価値と能力持つ集団として」
日本文化庁芸術文化アドバイザー(日韓交流担当)を務めたこともある姜誠氏(ノンフィクションライター)も、民族教育と文化的アイデンティティ維持の重要性を強調。「在日社会は、これまで政治的統合に力を注いできたが、発想を変えて文化的統合に力を注ぐべきだ。新生児の場合、年々重国籍者が増えている。国籍と民族は必ずしもイコールではない。民団には国境を跨いで活躍する『跨境人』の育成に努めるとともに、在日社会の文化的統合のスポンサーの役割を果たしてほしい」と要望した。
金一男・直選中央委員は「価値と能力を持つ集団は生き残り、それを失う集団は淘汰される。在日社会の将来を展望するうえで、組織の量的側面よりは質的側面を重視すべきだ」と主張、「志を大きく持ち統合に何をすべきか、財源と教育の問題をじっくり考えていく必要がある」と力説した。
フォーラムには民団中央本部の黄迎満議長と金昌植監察委員長、成功・中部協議会会長、婦人会、青年会をはじめ中央傘下団体長らも参加した。
(2009.12.23 民団新聞)