掲載日 : [2010-01-15] 照会数 : 9624
<民団新年会>2010年決意の出帆 各界同胞の声
[ 民団中央新年会で決意を新たにする参加者 ]
強い民団あってこそ
2010年を迎え、民団は韓日100年の新たな歴史を歩み出した。在日同胞の求心体として、われわれはこの2010年をどう迎えるのか。組織内の多様な課題にどう立ち向かうのか。韓日の懸け橋としてどのような役割を果たしていけるのか。さらには地方参政権獲得という懸案の解決にも明るい兆しが見え始めている。新年会参加者を中心に各界同胞から今年の気構えなどを聞いた。
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組織活性化
オリニ事業推進
李根さん(民団宮城団長) これまでの経験を生かし、団員のために頑張りたい。特に1世とオリニの2本柱を軸に事業を進めたい。先輩らに報いるために親睦の場を設け、未来をみすえたオリニ事業を推進する。今年はさまざまな節目の年だが、事業に振り回されることなく、足元を見失わないよう心がけたい。
金政雄さん(民団茨城団長) 3月に茨城空港がいよいよ開港する。現在のところ、アシアナ航空によるソウル便だけだが、昨年1年間は開港に向けて韓日交流が盛り上がったので、今年はさらに期待される。地元の日韓親善協会とは絆が強く、新年会に共同主催で約650人が集まった。また、昨年からスタートしたオリニハングル教室を充実させ、受講生を増やしたい。
禹日生さん(民団福島団長) 過疎地の民団運営は難しいが、手をこまねいているわけにはいかない。私はこの間、朝鮮総連から移ってきた同胞と懇談を続け、民団の行事に積極的に参加するよう促してきた。飲食レベルのつきあいはいいが、その先となるとなかなか難しい。これにめげず、団員として組織化できるよう今年も頑張りたい。
崔鐘太さん(韓商連会長) まず第一に経済の活性化を図りたい。その一環として韓信協とSBJ銀行が互いに協力しあえるよう支援したい。昨年は米州韓人商工人総連合会と姉妹提携したが、今年も他の海外同胞経済人と協力関係を結びながら、グローバルネットワーク化を進めたい。また、経済セミナー開催を通じて若手経済人を育成したい。
人材育成に本腰
余玉善さん(婦人会中央本部会長) 昨年10月、婦人会60周年式典を開催した。新たな60年を見据え、先に進まなければならない。今いちばん頭が痛い問題は人材育成であり、これは成し遂げられていない。まだ個人の考えですが、これから地方を重点に巡回したいと思っている。県本部に行けば支部の状況がわかる。今年の第一歩は私たちが出向き、地方を回って実情を把握しないといけないからだ。
朴安淳さん(体育会中央会長) 韓国国体「海外同胞の部」での優勝杯奪還が一番の目標。今年は、2月のバンクーバー冬季五輪、6月のサッカーW杯南アフリカ大会とスポーツの祭典が続く。スポーツへの関心が高まる中で、国体に出場する優秀選手を発掘していきたい。
薛海潤さん(在日韓国体育会中国本部会長) 平昌が冬季五輪の開催地に再び名乗りを上げる予定だ。これに対応するためにも、在日体育会にスキー協会を設立しようとの機運がある。在日にはこの分野にも人材は少なくないのに冬季スポーツの協会がひとつもない。まずは準備委員会を早めに立ち上げたい。
韓半島に平和を
李奉男さん(在日学徒義勇軍同志会会長) 今年は韓国戦争から60周年の節目。北韓に核開発の放棄を迫る集会を東京で開きたい。韓半島の非核化に向けた世論を盛り上げ、この平和への願いを東アジア全域に広げていきたい。これは高齢の私にとって最後のご奉公になるだろう。
尹徹秀さん(東京・弁護士) 私の所属する在日コリアン弁護士協会(LAZAK)では、今年中に韓国の憲法裁判所を紹介する本を出そうと準備している。日本にはないユニークな制度を多くの人に知らせたい。昨年12月には韓国家族法をQ&A形式で分かりやすく解説した本を出版した。在日同胞のために一つでも力になれるよう頑張りたい。
全在紋さん(桃山学院大学・大学院教授) 言語は味覚をはじめとする認識を規定する。日本語には日本語の価値観が潜んでおり、韓国語には韓国語の価値観が潜んでいる。例えば在日2世以降世代のなかで韓国人の好む補身湯(犬肉汁)やポンデギ(蚕のサナギ煮)が食べられないというのは、韓国併合100年の間に日本語が母語(第一言語)になってしまったためだ。在日におけるアイデンティティの獲得は韓国語学習にしかない。
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韓日交流
両国への貢献を
李美葉さん(大阪・多民族共生人権教育センター理事長) これからの韓日関係は政治的な揺れで左右されない関係を結ぶべきだ。そして日本人と私たち「在日」が遠慮することなく個人の段階で「歴史」を語り「人権」を語り、高めあう関係の「共生」をめざすべきだと思う。
朴清さん(民団大阪・八尾支部支団長) 在日1世の辛苦に満ちた生き様を知るにつけ、ほんとうにすごかったんだなと思う。この歴史を次世代に引き継いでいくのがわれわれの使命だ。一方、いままでとは違う新しい韓日関係を築いていかなければとも思っている。
方政雄さん(兵庫県立湊川高等学校・教員) 日本では「3代続けば江戸っ子」といわれます。韓国併合から100年という期間はその資格を満たして余りある歳月です。なのに、いまだに権利としての市民権すら与えられてはいません。1日も早く「市民権」を得て、韓国籍の「江戸っ子」として韓日両国に貢献できればと願っています。
金一雄さん(民団栃木団長) 昨年11月に日光市と慶州市が観光友好都市関係を締結した。今年は韓日交流の一環として慶州市を訪れる計画だ。青少年交流や観光客の相互往来を側面から支援したい。
卞鐘彦さん(民団千葉副団長) 最も近い韓日間を最も近い関係にしたい。そのためには地域住民との交流が不可欠。韓流の影響もあって、韓国語を学び、民団団員になった日本人女性が増えている。このような団員枠をさらに広げたい。
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地方参政権
地域住民と共に
崔長煕さん(民団大阪・西成支部議長) これまで以上に地域住民と手をとりあい、お互いに助け合って生きていくことを心がけていきたい。韓国併合100年を迎えた今年こそ、そういった活動が必要だと強く思う。そうすることで、お互いのわだかまりもとけ、そこから真の共生が生まれてくると思う。これこそ地方参政権獲得につながる道だと信じる。
朴哲夫さん(民団和歌山団長)地方参政権獲得が現実のものとなりつつあるいま、反対勢力の攻勢も日増しに強まっている。立法化されるその日まで安易に考えず、気を引き締めてあたっていきたい。
徐史晃さん(青年会神奈川本部会長) 地方参政権獲得後も外国籍住民と胸を張っていくにも、中身がなくてはなんにもならない。参政権獲得後の課題は民族教育だと思う。これからのオリニ教育に責任を持つべきわれわれ青年世代がまともな民族教育を受けていない。このギャップをどう埋めていくのか。民団と一緒になって考えていきたい。
金知京さん(学生会中央本部副会長) 今年度からは、韓国的な要素、在日的な要素を組み込みこんで、遊びながら文化とか歴史などを学べるような活動をしている。まずは友だちの輪を広げたい。そのきっかけ作りの場になるのが学生会だと思っている。そこから興味を持ち、勉強してもらったら、参政権の問題などにも取り組んでいけると思う。
(2010.1.13 民団新聞)