掲載日 : [2010-03-10] 照会数 : 5468
「民団の顔」に じーん 広報大使イ・ソジンさんの決意
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NHK−BS2で放映中の歴史大河ドラマ「イサン」(毎週日曜日21時)で、主役の朝鮮朝第22代王・正祖を演じている韓国人俳優のイ・ソジン(李瑞鎭)さん(37)が2月25日、民団の広報大使に委嘱された。植民地時代、ウェハルモニ(母方の祖母)が日本に留学。祖母から聞いた在日韓国人の暮らしや、日本での同胞との触れあいを通して、関心を深めてきた。広報大使への思いなどについて聞いた。
何より出会い大切に
在日の苦労に心が動く
イ・ソジンさんは1999年、ドラマ「波上の家」でデビュー。日本でも放映された「チェオクの剣」(05年)、「火の鳥」(07年)をはじめ、現在、放映中の「イサン」など、幅広い役をこなす演技力に定評がある。
日本は好きで頻繁に訪れるという。「外国に行くという気がしない」というだけあり、地下鉄も一人で利用できるほど。人気俳優でありながら気取りはなく、誠実な人柄が多くのファンを惹きつけている。
頻繁に来日し関心を深める
「同胞の皆さんとの交流が深められなければ、民団の広報大使は受けなかった」と話すイ・ソジンさん。民団中央本部の鄭進団長から委嘱状を受け取ったとき、「心がじーんとして、熱いものがこみ上げた」。
ウェハルモニは植民地時代、日本に留学した経験がある。「ウェハルモニ自身も苦しいことをたくさん経験し、また在日韓国人の方たちが、日本で苦労しているという話は聞いて分かっていた」。仕事を通じて日本と韓国を往き来するうちに、在日への関心を深めていった。
「日本に来ると食事を振る舞ってくれたり、面倒を見てくれた人のなかに在日韓国人の方が多かった。何度も日本に来るたび、これはなんだろうという自分の興味の対象になった。在日問題は少し関心を持っていれば、自然に分かっていくと思う。だから交流することが一番、大事」
だが、この間、在日韓国人との触れあいのなかで感じてきたのは、「寂しさ」だ。「いろいろな苦労があって、苦痛のなかで生きてきたからかも知れませんが、皆さんに会うと深い寂しさを身につけているのが分かる。それは常に感じた」。高校1年のときアメリカへ留学し、ニューヨーク大学経営学科を卒業した。日本には、多民族で形成されるアメリカ社会とは異質の独特な雰囲気を感じるという。
「催しあれば進んで参加」
民団の顔として今後、活動することについては、「重要な役割だが、しっかり担っていきたい」と力強い答えが返ってきた。
広報大使として一番に考えている事業は、多くの民団の同胞にあいさつすることだ。「民団の行事で皆さんが集まる時は、私を呼んでくれれば日本に来て、まずあいさつから始めたい。会わなければ何もできないから」
俳優の傍ら、06年から低所得者のために、家造り運動を展開しているボランティア団体、韓国ハビタットの会員として活動に参加。同団体の広報大使も務め、昨年11月にはタイで、奉仕団長のジミー・カーター元米国大統領と、数千人のボランティアたちが家を建てる「ジミー&ロザリン・カーター特別建築プロジェクト」にも参加した。
今年1月には日本財団と共同で、植樹などを通じて自然環境保全活動を展開する「Let’s Tree基金」を創設したほか、2月には、1日青森県知事にも就任している。
「自分の心が動くということがなにより大事」。それは仕事もボランティア活動にしても、同じだ。「民団の広報大使も自分で感じ、自分の心が動く通りに行動するということが一番です」
(2010.3.10 民団新聞)