掲載日 : [2010-03-17] 照会数 : 5175
「オモニの味」伝え30年 名古屋韓学料理教室
[ 具日會さん(左)の指導を受ける教え子でごったがえす教室
]
具日會さんが最後の授業
【愛知】愛知韓国学園名古屋韓国学校で30年余りの長きにわたって料理教室を主宰してきた具日會さん(82、婦人会愛知本部顧問)が、高齢のため、10日を最後に惜しまれつつ引退することになった。生徒たちからは「具先生のレストラン」と呼ばれるなど親しまれ、その味は「オモニの味」として人気を集めていた。この間、具さんから指導を受けた教え子は延べ1万人を超す。
教え子 延べ1万人
授業は毎月2回のペース。メニューは必ず3品用意する。レシピは簡潔にして、各自が創意工夫できるようにした。ニンニクなどの調味料は具さん自ら調製して持参した。料理が終わるころには具さん心づくしの料理が2、3品テーブルに並ぶ。具さんのこうした細やかな心遣いが人気の秘密だ。
開講当初は、日本人の先生や韓国からきたシスターが講師を担当してきた。しかし、なかなか教え子が定着しなかった。具さんは婦人会愛知本部の会長職を退き、比較的時間の余裕があったことから後任を引き受けた。
具さんから直接薫陶を受け、いまは助手を務めている金和枝さん(55)は、料理教室に通ってはや20年。「先生は身近な材料を使い、手短に料理できるのが特徴。食材は最後のひとつまで無駄にしない。ものを大事にするということを学んだ」と話す。
これまで12年間、教室に通い、いまもOBとして時おり教室に参加している鄭光子さん(70)は「先生には、本当に感謝している。長い間ご苦労さまでしたと言いたい」と涙ぐんだ。尹大辰前校長は「先生は韓学をいつも我が子のように思っていてくれた。とても感謝している」と語った。
「最後の授業」となった10日。具さんはあわび粥、干したらのフライパン焼き、花餅の3品を指導した。教え子たちは「ほんとうにさみしい」「月2回の楽しみがなくなる」と名残惜しみながら、メモをとっていた。
具さんは「まだまだ教えてあげたいことがたくさんあるのに」と心残りの表情ながら、「これからもみんな、仲良く頑張ってください」とエールを送り、学校には賛助金を贈った。
(2010.3.17 民団新聞)