【宮城】「みんだん生活相談センター」(所長=金昭夫中央副団長)による地方巡回相談がこのほど、被災地の宮城県で実現した。同センターの地方巡回開催は07年の開設以来、これが初めて。民団宮城本部(李根団長)が被災した団員の抱える生活上の悩みを解決してあげたいと、仙台市内の同韓国会館で定期開催している「7月例会」の中に組み入れた。
初の地方巡回
例会は3月の大震災以来中断してきた。7月は久しぶりの再開となり、家族連れの団員約50人でにぎわった。同本部によれば、このうち約5分の1が被災者だった。法律相談と同時進行で3件の個別相談も行われた。
飯野忠則さんは、震災のため、韓国籍の妻と一緒に住む利府町の2階建ての借家を失った。家主に敷金などの返還を請求できないかと個別相談に訪れた。これに対して東京から駆けつけた専門相談員の殷勇基弁護士が、「自然災害なので法的に請求は可能。家主がどうしても応じないときは簡易裁判所での調停、ないしは少額訴訟で解決の道を図れる」と回答すると安心した表情を浮かべた。
一方、震災のため気仙沼市内で経営してきたキムチ工場が全壊した全慶植さんは、土地などの権利、財産をどう保全していくかに悩んでいた。鄭英模司法書士から直接アドバイスを受けた全さんは、「私がいままで思い悩んできたことに対して全部的確に答えてくれた。ここに来てほんとうによかった」と「センター」の役割を再認識していた。
全体の法律相談では、鄭司法書士が「家族関係登録制度の概要と事例紹介」、殷弁護士が「改正国籍法について」それぞれ1時間ずつ講演し、会場からの活発な質問に答えた。民団宮城本部では巡回相談が好評だったことから月1回程度、常設の相談室を設置していくことも検討しているという。
民団中央本部生活局ではこれからも引き続き地方巡回を予定している。
(2011.8.15 民団新聞)