掲載日 : [2003-06-25] 照会数 : 5006
東大と一橋大に申請 民族学校の入学資格認定(03.6.25)
[ 合同記者会見で経過報告する市民団体代表 ]
法的責任追及も視野に…弁護士有志の会
国立大学受験を希望する民族学校生の代理人として、都内の弁護士有志が18日までに一橋大学と東京大学にそれぞれ「入学資格認定書」の交付申請を行った。今後さらに10から15の国立大学に同様の申請を行っていく。
民族学校は各種学校扱いのため、現状では国立大学への入学資格を得るためには大学入学資格検定(大検)を受けて合格するしかない。一方で学校教育法施行規則69条6号は大学側の個別の判断でも入学資格を認めている。現行法に基づき大学独自の判断を求めた。
「弁護士有志の会」では「大学側の回答次第では各大学の法的責任追求も辞さない」構えだ。一方、文部科学省は学校教育法施行規則69条6号の取り扱いについて、各大学からのこれまでの照会には「死文化している」と回答してきた。
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市民団体が受験資格緩和と財政措置訴える 文科省に署名4千人分
「高等学校」に準じるすべての外国人学校への国立大学入学資格と1条校同様の財政措置を訴える「共同声明」への賛同人が、17日までに4412人に達した。呼びかけ団体の「すべての外国人学校の大学入学資格を求める実行委員会」では18日、文部科学省を訪れ、遠山敦子文科相に宛てた同趣旨の「要請書」を提出した。
署名は実行委員がそれぞれの友人・知人らに呼びかけた。組織や団体は介していない。
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「公平な教育の権利を」 公聴会で証言
文部科学省に民族学校の処遇改善を求めている市民団体「すべての外国人学校の入学資格を求める実行委員会」(代表、田中宏龍谷大学教授)は民族学校関係者を呼んでの「教育の権利に関する外国籍住民公聴会」を18日、衆議院第2議員会館で開いた。
東京韓学の洪性豪理事は、アジア系の民族学校に対して事前に大学入学資格を得るために必要な条件の提示をせずに独自の基準で一部インターナショナルスクールだけを抜き打ち的に認めた文科省の対応を「公平に反する」と批判した。また、同校は韓国政府から正規学校としての認定を受けているだけに、「英米の民間評価機関の認定とどこが違うのか」と述べた。
同じく東京朝鮮中高級学校の朴教員も「学生たちが伸びやかに育っていくよう機会の平等を与えてほしい」と訴えた。
この日の「公聴会」に出席できなかった横浜インターナショナル・クリスチャン・アカデミー校長からは「歴史的な背景を考えれば、朝鮮学校や韓国学校こそ真っ先に認められるべきだ。誰にもわかる公平なルールをつくってほしい」とのメッセージが届いた。
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一橋大に要望学内署名添え 同胞の現役学生
一橋大学(石弘光学長)の現役学生らでつくる「民族学校出身者の一橋大への受験資格を求める連絡協議会」(一橋民受連、鄭栄桓代表)は11日、民族学校の受験資格を認めるよう求めた「要望書」を杉山武彦副学長に提出した。
「要望書」の中で一橋民受連は、来年度からの受験資格認定、および学内に人権問題を扱い、その改善を図る機関を設置するよう求めている。杉山副学長は「後日、大学として回答する」と答えた。一橋民受連はこの日までに3週間で1007人分の賛同署名を学内で集めた。
なお、一橋大に次いで東京大学でも新たに「民族学校出身者の東大への受験資格を求める連絡協議会」(東大民受連)が発足している。
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国立大学受験資格 関西3府県知事も要望
京都、大阪、兵庫の3府県は20日、民族学校生の国立大学受験資格を認めるよう求める3知事連名の要望書を文部科学相に提出した。
要望書の中で3知事は「関西には多くの外国人学校が立地し、共生社会の実現を進めるうえで大きな基盤になっている」としたうえで「外国人学校卒業生に等しく大学入学資格が与えられるよう格段の配慮を願う」としている。
3府県には全国の在日同胞の4割が居住する。
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京都韓学を語る 7月、受験資格で講座
【京都】「民族学校を考える会」(京都市左京区)は大学受験資格問題を考える連続講座を7月5日、午後2時からウイングス京都で開く。6月から続く講座の最終回。
テーマは「京都における韓国学校の歴史―現状とこれからの展望にむけて」。講師は同校教頭の李明さん。
参加費千円。問い合わせは同会。電話は075(771)5418へ。
(2003.6.25 民団新聞)