掲載日 : [2003-06-25] 照会数 : 4589
民族教育コーディネーターのすすめ<中> 金光敏(03.6.25)
[ 毎年6月大阪・北選小学校で開催される「オリニ運動会」には10校以上から在日同胞子弟が参加している ]
率直に学校と対話…「必要性」の認識確認が大切
学校側には、問題指摘型ではなく協働型の姿勢で臨むことが大切で、率直な現状を聞きだすようにする。それに際し、こちらも率直に問題点を指摘しつつ、一方で、保護者が相談を学校外に持ち出したことについて「切実さ」からの行動であることの理解を求める。
学校側には、取り組みの参考となる教材の紹介や、教職員研修の持ち方、教育内容への助言や講師紹介、保護者とのコミュニケーションの図り方などについてアドバイスを行う。学校側と協働でよりよい教育環境をめざそうとの姿勢は大切な視点だ。
民族学級などの開設要望は、学校側に対して、保護者の学校に対する期待感の表明であると説明し、学校側に、民族教育に関わる教職員研修の実施や、管理職や人権教育担当者らによる他校民族学級の見学(他府県からでも連絡をくれれば、大阪で私たちが受け入れることもできる)の提案をする。教職員研修では、保護者の思いに触れるような内容や、専門的な講師を読んでの理論的な研修会でもいい。大切なことは、当該の教職員に、「本校に民族教育が求められている」という認識を持ってもらうことだ。
また、民族学級見学の際に、保護者の同行を提案してもいい。民族教育推進のための遠出の道すがら、保護者とコミュニケーションをはかることはとても有意義なことだろう。
教育委員会に対しては、その都道府県や市町村教委が策定している「人権教育基本方針」や「外国人教育指針」や、91年の韓日外相覚書交換後に通知された「通達」を根拠にして、民族学級開設が法的に何ら問題ないことの理解を促す。
何よりも、こうした要望が出てきたときに、行政は、「実施できない」理由を探し出し、ああだこうだ消極姿勢で臨む場合が多い。そうした場合、「子どものため」であること強調して、教育委員会自らが「実施する」ための根拠を探し出せるよう、発想の展開をうまく導いていく必要がある。
また、当該校の関係者らが民族学級見学に赴く際に、「一緒に学びませんか」と働きかけ、市教委担当者にも同行しようと誘うことも大切だ。
民族学級の開設に伴う指導者(民族講師)問題について、大阪では私たちも対応できるが、他地域では、民族団体職員の出向はどうか。民族学級の活動は週に一回程度であり、「学習」という観点よりも、簡単なウリマル、民族遊び、歌などに「出会う」感覚で、指導にあたっても最初はかまわないと思う。
指導者への講師謝金は一番重要な点であるが、民族学級指導者は「ボランティアで」との認識では今後の広がりに弊害となりかねないので、しっかり要求するよう提案したい。すなわち、民族教育を予算化することは、公的化する意味であるから、民族学級指導者の個人的な「遠慮」で「ボランティア」とすることは望ましいと思わない。
ただ指導者本人がこうした話を持ち出すのは難しいので、コーディネーターがはっきりと教育委員会に要請すべきだ。1回数千円程度の予算なら、教育委員会はどこからでも充当できる。ここは引かないように。
(2003.6.25 民団新聞)