掲載日 : [2003-07-30] 照会数 : 6622
受験資格と税制優遇を 「二重の苦しみ」軽減求める(03.7.30)
[ 民族学校在籍の生徒から話を聞く冬柴幹事長 ]
韓学など都内の3民族学校が足並みそろえ…公明党に要望
東京韓国学校と東京朝鮮中高級学校、東京中華学校の関係者が17日、公明党の冬柴鐵三幹事長を訪ね、個別に国立大学受験資格の付与と税制上の優遇措置である「特定公益増進法人」の認可を要望した。この問題で民族学校3校が足並みをそろえて働きかけたのは今回が初めて。
要望の趣旨は3校とも国立大学受験資格と税制上の優遇措置である「特定公益増進法人」資格の付与で共通している。東京韓国学校からは金總領常任理事と洪性豪理事が要望書を提出した。
来年度国立大学の受験を予定している受験生が入学資格を得るには、文科省が遅くとも8月までに受験資格の緩和措置をとる必要がある。金常任理事は「事態が切迫している」と訴え、与党の立場から文科省へ働きかけるよう求めた。また「特定公益増進法人」についても、「来年の創立50周年を機会に家庭的に恵まれない生徒を対象に独自の奨学金を出そうと思うが道がない」と訴えた。
東京中華学校の陳哲燦校長は授業料負担が保護者の重荷になっている現状を「大検と合わせ二重の苦しみ」と述べ、東京朝鮮中高級学校の具大石校長も「寄付への課税は親の負担が大きい」と強調した。
要望書を受け取った冬柴幹事長は「(受験資格同様)これも大きいね」と税制措置認可にも理解を示した。
税制優遇措置は一部インターナショナルスクールの設置法人については4月1日から認められている。具体的には国際バカロレア(スイス)のほか米国のWASC、ACSI、英国のECISのいずれかの評価団体の認定を受けた16校。
これら16校については政省令を改正し、「特定公益増進法人」に追加した。特定公益増進法人への寄付者は税控除を受けられるため、これら認定を受けた16校は寄付を集めやすくなる。ただし、アジア系民族学校はここでも排除された。
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首相に会える機会をつくる
冬柴幹事長はこの日、民族学校3校の高校生が小泉首相に直接会って思いを伝えられるよう努力したいと約束した。
民族学校の各代表はこの後、公明党の文部科学委員会でも同様の意見表明を行った。
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「独自の資格認定を」…東京外大教授会決議
東京外大外国語学部教授会(馬場彰学部長)は民族学校卒業生の国立大学受験資格を認めていない文部科学省を「教育の機会均等に反し、差別的だ」と批判、同省に資格認定を求めるとともに「(同省が認めなければ)本学独自で資格認定すべきだ」とする池端雪浦学長に宛てた決議を28日までに採択した。
この問題では京都大学でも部局長会議が「門戸開放が適当」と決議しているが、東京外大は大学独自の資格認定を求めておりさらに踏み込んだ内容となっている。
(2003.7.30 民団新聞)