掲載日 : [2003-08-20] 照会数 : 5106
またも朝鮮学校外し 専門学校入学資格で方針(03.8.20)
不明朗な線引きには疑問…韓学2校は認定
東京韓国学校と京都韓国学園の卒業生は、来年度から、専門学校(専修学校専門課程)についても大学入学資格検定なしで受験(入学)資格を得られることになった。国立大学の入学資格緩和に続く措置で、文部科学省が12日までに明らかにした。
韓国学校が選ばれたのは、カリキュラムが「本国での12年間の正規課程と同等と位置づけられていることが公的に確認できる」ため。ただし、朝鮮学校は「本国との教育課程の関係を公的に確認できない」として、卒業生それぞれについて学力の判断を専門学校の自主判断に委ねる。
朝鮮学校卒業生を国立大学に続き、専門学校についても入学(受験)資格緩和の対象から外した今回の文科省の一連の方針を見ると、なにがなんでも朝鮮学校だけは認めたくないという恣意的な排除の印象すら受ける。
文科省は朝鮮学校について「本国での位置づけが不明であり、法的に確認することが困難」としている。
しかし、北韓と同様、日本と国交のない中華民国(台湾)については財団法人交流協会を通して「公的な確認」が可能としている。もし、文科省が台湾系の中華学校にも入学資格を認めるとするならば、朝鮮学校だけそれが困難というのは説得力に欠ける。
もう一つ、各大学(専門学校)の自主的な判断としたことは、一方で入学(受験)資格を認めない自由を認めたことでもある。
文科省自身は「朝鮮学校を認めていないという話ではない。学校で判断するのではなく、個人で判断してほしい」としているものの、個別審査をして再び大検を課す大学(専門学校)が出てくることも考えられる。来年以降の受験を控えた朝鮮学校生徒らの不安感は消えていない。
はり・きゅう師科、調理師科などの専修学校との整合性についても疑問が残る。専修学校は外国人学校と同様に各種学校として扱われ、75年の学校制度創設当初は大検に合格しないと大学に進学できなかった。ところが中卒が進学する高等課程修了者には85年から大学入学資格が認められた。
その要件は修業年限3年以上卒業に必要な総授業数2590時間以上普通科目の総授業数が420時間以上ーなどだ。これらは朝鮮学校高級部のカリキュラムでも優に満たしていることが確認されている。
なぜ、朝鮮学校だけ認められないのか。専修学校と同じく朝鮮学校につついても一定の授業数や年数という基準を設け、それを満たしている学校には認めるということも考えられる。
文科省は来春の入学に間に合うよう9月までに関係法令を改正するという。朝鮮学校卒業生に不利益が生じないようさらなる配慮が望まれる。
(2003.8.20 民団新聞)