リサイクル事業
平山産業グループ 崔起成社長
金属や古紙、瓶・缶・ペットボトル、木屑の再生処理、廃プラスチックの固形燃料化(RPF)など、さまざまな廃棄物のリサイクルを推進している。
ゴミこそ宝の山
「一般には、製造業を中心に経済を考えがちだが、処理業は必ずついて回るもの。社会や経済は循環しながら動く。ゴミは宝の山といえる」と強調する。社員は110人、昨年度売上額は約10億円。
1952年中津生まれ。中学時代はサッカー選手として鳴らし、地元の3高校から「入学試験・授業料免除で」と勧誘されたが、「一日も早く働いて、親を少しでも楽にさせたい」との気持ちが強く、京都の自動車修理工場に就職した。
「差別の厳しい時代で、腕に職をつけ、早く自立したかった」。神戸や埼玉などのゴムや自動車修理、靴工場、漁師などの職を転々とした。18歳で自動車免許を取得後、上京。チリ紙交換を始めた。19歳で故郷に戻り、中津の隣町、豊前市で先輩同胞のスクラップ業を手伝う。「この店の発展に尽くした。人生は不思議なもので、取引先の商社マンが後日、助けてくれた」
76年、古鉄業の平山金属を創業。「顧客も、資本もなく、自分の可能性を試す意味でリヤカーを引きながら鉄を拾って歩いた」
数年後、その商社マンから突然電話が入り、仕事の事情を話すと、即、500万円を振り込んでくれた。「このカネはきっと返済する」と意を決し、10年間、がむしゃらに働いた。
88年、中津市の古紙問屋を引き取り、三光支社を開設した。90年、平山産業有限会社に社名変更し、法人化。95年、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」の施行にともない、大分県の処理委託を受けられる業者に指定され、自治体の代行業務を行う。
97年、株式会社に組織変更するとともに、三光支社を本社に。日田に支社を設置し、ペットボトルの圧縮設備と、缶・瓶を選別する機械を備えた廃棄物再生処理センターを設け、本格的なリサイクル事業に乗り出した。
木屑を新燃料に
03年、ISO14001認証を取得。04年、豊前に古紙専用工場を開設した。06年、本社を現在地に移転し、RPF・木屑工場を開設。廃プラスチック再資源化を導入し、固形燃料の生産をスタートした。「木屑はこれから新エネルギーになりうる素材。大手製紙会社に燃料として供給している」
4カ所の工場敷地は合わせて5万平方メートルに達する。家庭から排出されるゴミは、可燃物で45%、焼却不適合物で10%、不燃物で50%の再資源化を可能にしている。「廃棄物を限りなくゼロに近づける『ゼロエミッション』をめざし、環境保全に貢献していく」
県立中津東高校の定時制に毎年寄付し続け、20年になる。「自分が学校に行けなかった分、働きながら学ぶ人にはエールを送りたい」。現在、中津ライオンズクラブの会長、中津商工会議所の部会長、大分県産業廃棄物県北支部の副支部長などを務める。
会社の入口には、社旗と太極旗、日章旗を掲げている。「韓国は生みの親、日本は育ての親。両国が仲良くあるべきで、1世の苦労を忘れてはいけない。親を思う気持ちイコール国を敬うこと」。国旗掲揚はその気持ちの表れだ。
◆平山産業(株)=大分県中津市三光下秣字大源寺平310―1(TEL0979・43・5530)
(2014.1.15 民団新聞)