高校生ら「これからの命なのに」
セウォル号沈没惨事の犠牲者の冥福を祈り、不明者の一日も早い発見を願う献花台とポストイット・ボード。設置された韓国中央会館には弔問者が後を絶たず、韓国語、日本語、英語などのメッセージでボードが埋め尽くされ、民団は増設に追われた。事故後、韓国国内で広がった「戻ってくることを切実に祈る」という意味を込めた「黄色いリボン」を添えるメッセージも目立つ。
東京韓学生も下校後に日参
「私たちと同じ高校生なのに、胸を締めつけられる思い」「奇跡を信じてます」。25日から設けた献花台に最初に献花・メッセージを寄せたのは、檀園高校生と同年代、東京韓国学校高等部の生徒たちだった。献花台の設置を知り、下校後に連日訪れている。
「高1です。こんな事故、信じたくない。テレビで両親たちが泣き叫んでいる姿を見ると涙が止まらない。息子や娘たちの代わりにどうか、がんばって生きてください。きっと天国から応援してくれるはずです」。
同校からは韓国の大学への進学者が多い。「もしかしたら、韓国で同期生になったかも。生きていると信じ、奇跡を祈ります」「人生で最も大切な思い出を作るこの年頃に、こんな惨事にあい、同じ高校生として、韓国民のひとりとして、胸を締めつけられる」と無念を噛みしめた。
犠牲となった檀園高校教師の元恩師も「このようなことが二度と起きないことを願うばかり。あなたと、みなさんは私の思い出の中にいつまでも生き続けます」と花束にメッセージを添えた。
また、同校教師の後輩も訪問。「わが身を犠牲にして生徒たちを救った先輩は本当にすばらしい教師。ひまわりのような明るい笑顔が素敵な先輩、どうか天国でも教え子たちと一緒にすごして」と冥福を祈った。
「守れなかった申しわけない」
セウォル号には檀園高校の生徒たち325人が乗っていた。同世代の子を持つ親たちからのメッセージも多い。
「愛する子たちよ、遠く海外から奇跡を願ってます」「守ってあげられずごめんなさい。こんな大人たちで申し訳ない。どうぞ安らかに…」「親として、一緒に悲しむことが唯一できること。ご家族はあなた方のことを忘れないでしょう」などとつづられている。
祈りの千羽鶴が東北被災地から
東日本大震災激甚地、宮城県出身の樋口みよ子さんからは千羽鶴が送り届けられた。
樋口さんは震災時の救援に感謝しながら、「近隣住民には多くの韓国人がいるし、仲良し。毎日報道されるすべてのことに涙が止まらない」としたためた。
「犠牲心を呼び覚まそう」
数多くのメッセージの中には「すべて政府の責任とする姿はいただけない。それで解決するものではないのに…」といった指摘もあった。群馬県の同胞女性から送られてきた手紙には「各界と国民みんながこの惨事を深刻に受け止め、教訓とすべき。今、韓国社会は正義と道徳の概念が崩れはじめている。新大久保駅事故の李秀賢さんのように、犠牲心を思い起こしてほしい」としながら、「潔癖な女性のシンボルでもある、朴槿恵大統領が韓国社会の隅々まで不正をただしてほしい」と願いを込めていた。
(2014.5.7 民団新聞)