国籍を問わず、優秀な人材を採りたい企業側と、リアルな企業情報を求める学生たち。民団中央本部が14日、東京・港区の韓国中央会館で開催した「MINDAN就職フェア」は双方の思惑がマッチし、真剣に質疑応答を繰り返す光景がめだった。民団中央本部が就職フェアを企画したのは10数年ぶりのことだが、双方ともに満足度の高いイベントとなったようだ。
学生側 伸び伸びアピール
企業側 意欲の高さが魅力
会場内にブースを構えたのは日本の会社が7社、在日同胞系12社、さらに駐日韓国企業のLG化学ジャパンも含めて全部で20社。
現在は社員8人ながら将来的に伸びしろが高いとみられる人材派遣会社や、年間売上高4000億円を超える大手まで様々だった。在日同胞企業は全国各地の民団から推薦を受けた中から最終的に中央本部が決めた。留学生のために会場内に設けた在留資格相談コーナーのブースも好評だった。
就職を望む学生は1日で最終的に130人を数えた。中には広島から駆けつけたという参加者も。この多くが韓国からの留学生だったが、在日同胞も見られた。金仙耶さん(神奈川、恵泉女学園大学4年)もその1人。「業界をしぼらず、販売をやりたい」とやる気満々。昼の段階で5社のブースを回ったという。
同じく神奈川から参加した在日同胞の女性は、民団新聞を見て「どういう企業があるのか、気軽に参加した」という。ソフトウエア企業のTECHTONEのブースを訪問、「文系だけど、頑張ります」とやる気をアピールしていた。「(相手企業も)私たちの意気込みを見ているのでは」と話していた。
茨城県からやってきた20代後半の在日同胞女性。韓国留学を終えて日本に戻ったばかり。マスコミ志望で放送関係のイルージョンのブースを訪ねた。「どういう人材を求めているのかを聞いた」。自らは「根気強い」という持ち味をアピールした。
一方、企業側が一様に指摘したのは、学生側の真剣な態度だった。物流と倉庫の山九の採用担当者は「コミュニケーション不足が目立つ日本人学生に比べれば、質問が具体的で、積極的。反応がいいので、説明のしがいがある」と喜んでいた。また、人材派遣のエスペシアの関係者も、「お昼までに約20人ほどと面接した。みな意識が高く、すばらしい学生が多かった。日本に来てわずか2カ月で日本語がネイティブ並みの留学生もいた。そもそも日本人とはスタートラインからして違う。やる気は評価したい」と手応えを感じていた。
ある留学生は「留学生でありながら興味を持って話しかけてくれる企業に会えるのはなかなかない。このようなフェアがたくさんあったらいいなと思います」と話していた。
(2014.6.25 民団新聞)