◆◇◆煩雑な手続き 覚悟を…金融監督院通じた照会も
誰でもお金のことはあまり知られたくないので隠してあります。私も親がどこに預金をしているか知りません。皆さんは、ご両親から預金がどこにあり、金額はいくらか知らされていましたか? 親子の仲は良かったですか? 仲が悪ければ、教えるわけがありませんね。
遺言がないため難儀する遺族ら
誰でも通帳とか大事なもの、知られたくない物は人に見つからないように隠します! 隠したのですから子供たちも簡単には発見できません。金庫の中ならまだしも、実際には、天井裏、畳の裏、床下、タンスの下、ソファーの中、書物の中、冷蔵庫の中というのも聞きました。たまに本人も忘れてしまって探せなくなっていますね。私の母の場合、古くなった米びつを捨てる時に、中に宝石等が隠されているのを発見しました。誰か天井裏を探してみましたか?
人間はいずれ死ぬのですが、今日、明日死ぬとは思っていません。遺言がなければ、子供たちはどこに預金が預けてあるかもわかりません。子供たちの方でも、どこに預金があるかとか、死後の話を親にするのは気が引けます。
韓国でもペイオフ(5000万ウォンまでの預金保護)が制度化されています。預金者は、安全のため定期預金を小分けにして複数の銀行に預けています。近くの銀行だけではありません。お金持ちは安全のためにいろんな努力をしています。老後のためにと結構なお金が残っているはずです。さて、どこにいくらあるのでしょうか?
預金があるのかどうかもわからないのが、一番難儀な問題ですね。韓国は外貨危機の時、日本よりはるかに高い預金金利と有利な為替レートだったので、多くの在日同胞が韓国内でウォン定期預金をしました。
それ以外にも相続した財産があったとか、不動産があって税金や管理費用を払っていたとか、不動産を売ったとか、お墓参りで何度も往復していた場合、預金口座を持っていると考えた方が自然です。ある程度の預金金額なら、その利息だけで旅費や法事の費用がまかなえました。韓国へ行くたびに現金を持っていくのは危険ですし。
親の預金が韓国にあるのではないかと子供たちも薄々感じていますが、韓国語もわからない在日二世、三世が探したり、相続手続をしたりすることは簡単ではありません。まして貸金庫の中にあればどうでしょう。
相続預金と休眠預金では手続が大きく違います。休眠預金は本人が生存しているから、本人自身が調べることができます。相続預金はそれができないので別の手続きとなります。
被相続人の死亡診断書または、死亡の事実が記載された従前の戸籍を意味する基本証明書と死亡者との関係(推定相続人の資格)を証明する家族関係証明書、日本の運転免許証等の本人確認書類等を準備しなければなりません。
確認書類を備え何度も韓国往来
さて、これからが問題です。日本にはSBJ銀行(新韓銀行)、国民銀行、韓国外換銀行等の日本支店がありますが、彼らは日本金融庁から韓国内でするような預金手続等の業務を禁じられました。昔のようなサービスをしてもらえなくなりました。
ですからどうしても韓国に行かなければなりません。そして、韓国語ができるか、通訳がいないと話になりません。
韓国に行って、取引があると思われそうな各銀行を訪ねるか、韓国金融監督院に依頼して、相続預金の有無を各銀行に照会してもらいます。残念ですが、韓国金融監督院の場合、申請してもその場で確認することはできません。口座があったとしても、残高や詳しい内容は教えてくれません。結局、再度韓国に行って預金のある銀行を訪ねて残高確認と手続きをしなければなりません。いずれにしても相続関連手続は面倒なものです。
全国相続協会相続支援センター 在日韓国人相続相談室室長 鄭相憲)
(2014.7.16 民団新聞)