掲載日 : [2003-11-19] 照会数 : 4964
阪神「金本」の活躍に思う 藤原史朗(「全外教」代表)
阪神タイガース「金本」の活躍に、全国の「金本」さんは歓喜したであろう。日本シリーズ最終戦の日、「2・8の割合で阪神負けるやろ」と私が言うと、ある生徒は「絶対勝つ」と血相を変えて断言。日頃無口な彼の大声に教室がどよめいた。
試合は敗北。翌朝、生徒も職員も総じて元気なし。阪神間のファンにとってタイガースは疑似信仰的対象か。校内文化祭の出店からは名曲「六甲颪」は流れ続けた。
シリーズ2連勝の日、韓国民団の某氏を学校に招き、教職員学習会を催した。席上、氏が阪神の同胞選手たちを列挙。一瞬ある静けさがただよった。「金本」は在日としても有名だが、他の選手はそうでもない。即刻、氏の情報に基づき広島の鄭さんに彼の妻の通称(現在不使用)と同じ通称の選手が在日なりと電話で告げた。「金本」とカープファンの彼女は、TVで試合を見るたびに「胃の痛みがまた増える」と嬉しい悲鳴。
学校の後期全校一斉人権学習特設HRに向けて、1年生に「現代社会」で「朝鮮半島と日本列島の歴史」を教えるなか、「金本」を引き合いに創氏改名について話した。1945年、日本は敗戦したのに、在日コリアン全体にはまだ「本名」使用が戻っていないのはなぜか。生徒らは世の中の差別を見たぞという表情をした。
とどめの話は「アリアスの応援に6枚継ぎ合わせの大星条旗なら、なぜ金本に大極旗を振らないのか」。加えて戦前に古関裕而は「六甲颪」と並び「露営の歌」を作曲、戦後、戦争加担に対する自己懺悔として「長崎の鐘」を作曲したことも告げた。
(2003.11.19 民団新聞)