掲載日 : [2003-12-10] 照会数 : 3574
<兵庫版>同胞高齢者・障害者給付金アップを(03.12.10)
県内19自治体に要望
来年度予算措置求める…民団兵庫
国民年金に加入する機会が与えられなかった同胞高齢者等へ支給されている福祉給付金について、民団本部(白永熙団長)と権益擁護委員会(李鎮午委員長)は、各支部と共同で県下19の自治体に対し、日本人への福祉年金並みに増額を求める要望活動を行った。
当初国民年金には国籍条項があり、在日同胞は加入できなかった。
1982年の難民条約加入に伴い国籍条項は撤廃されたが、当時35歳以上の者、および20歳以上の障害者はやはり国民年金に加入できないものとされた。
86年、国民年金法は再度大改正されたが、障害者と60歳以上の同胞はここでも切り捨てられた。これに対して「障害年金の国籍条項を撤廃させる会」などの市民グループが「在日コリアン等に年金が支給されないのは差別である」として、制度の是正を求める運動を始めた。
粘り強い運動の結果、91年ごろから県内の各自治体は国民年金から排除されてきた同胞等に『福祉給付金』の名で独自に現金を支給することを始めた。当初は支給額も少額であったが98年、兵庫県も『福祉給付金』制度を創設し、対象者には県と市町がそれぞれ給付金を支給することとなり、制度も幾分改善されてきた。
ただ、現在でもなお日本人が受給している『福祉年金』とは差が残っている。民団は「『福祉年金』と『福祉給付金』の額に差があるのは差別だ」として、これを日本人並みに引き上げるよう各自治体に要望を行った。
具体的には『福祉年金』(高齢者34025円/月)の半額にあたる額を県と市町それぞれが負担するよう求めた。
経済状況が厳しいなか、各自治体とも民団側の要望実現についての明言は避けたが、同胞高齢者問題自体には理解を示した。
今回の要望活動のほとんどに参加した李成俊西宮支部議長(中央本部権益擁護委員)は、「思っていたよりも反応のよい自治体が多かった。ただ、予断は許さない。差別を見過ごすことなく、最後まで要求し続けることが大事だと思う」と語っている。今後は各自治体当局の対応を見守ることとなる。
なお東播地区4市3町(明石市、加古川市、高砂市、小野市、稲美町、播磨町)は既に負担額を『福祉年金』の半額に増額している。
(2003.12.10 民団新聞)