掲載日 : [2003-12-24] 照会数 : 3770
散打見参 篠藤由里(作家)
12月某日、「SANTA(散打)」というユニットの、東京初ライブに行ってきた。韓国の人気パーカッション・グループ「プリ」で活躍していた在日3世の閔栄治さんが率いるパーカッションとダンスのユニットで、韓国の国楽にヒップホップやラップなどを取り入れたステージは、とにかく「カッコいい」のひとこと。圧倒的なリズムのパワーと、見せることにこだわった演出に、本当に気持ちよく乗せられた。
ステージで閔栄治さんは、「15歳で韓国に留学し、向こうでプロとしてやってきましたが、なぜか日本でやりたくなって2年前に帰ってきました」と、語った。自分は韓国人ではなく、在日コリアンだから。自分が生まれた日本で勝負してみたい。そんな思いが、言葉の端からうかがえた。 私はパフォーマンスが大好きで、日頃からダンス、音楽、芝居とさまざまなステージを観ているが、「SANTA」には大きな可能性を感じた。まだ荒削りなところはあるが、もっと表現を極めていけば、世界に通用する東アジア初のパフォーマンスになるのも夢ではないと思う。
その前に、まず日本だ。韓国に特に興味がある日本人ではなくても、ダンスやパーカッションが好きな人なら、あのステージに魅了されるに違いない。そこから、「へぇ、在日ってすごいんだ」と、初めてその存在を意識する人も出てくるだろう。
ルーツに根ざした伝統の技術を確実に習得した上で、新しい感性で、現代の若い人たちの心をとらえるステージを創り上げていく。新しい世代の在日コリアンの、パワー溢れる表現の誕生に、心から声援を送りたい。
(2003.12.24 民団新聞)